「うちの子、発語遅くない…?」
他の子は発語がすすんでるのに、我が子は「あー」「うー」と、まだ喃語。
一体いつになったら「ママ」「パパ」と呼んでくれるんだろうか。
こんな悩みを抱えている親御さん、多いですよね!
保育士をしている身の体感ですが、特に第一子の子育て中7割の親御さんが抱える心配事の一つ。
しかし、そのほとんどが「あの悩みはなんだったんだろう…」という結果に終わります。
発語に関してはかなり個人差があり、獲得するまでの期間が0~3歳という長期間にわたるので、より不安に駆られやすいと思いますが、話せるようになるまでの暇つぶしを兼ねて、発語までの基本的な知識と対策についてお伝えします。
ぜひ参考にしてください。
発語はいつから?赤ちゃんが初語を話し始める時期の目安
まず赤ちゃんはいつから言葉を話し始めるでしょう。
平成22年に厚生労働省が発表した「乳幼児身体発育調査」を参考にして取り上げると、
1語以上の単語を発する乳幼児の割合が生後9~10カ月未満で9%、生後1年0~1カ月未満で50%以上、生後1年6~7カ月未満で90%以上
厚生労働省:「乳幼児身体発育調査」
つまり、1年半ぐらいまでの間に話し始める子が多いようです。
ただし完全に個人差があるので、この数字に縛られないようにしてください。
では次に「初めての言葉はどんなものが多いのか」見てみましょう。
案外すでに「うちの子話せしてたわ!」と叶っている可能性も…?
これも発語か!赤ちゃんの「はじめての言葉」ランキング
では、赤ちゃんが獲得しやすい言葉はどんなものが多いのでしょうか。
NTTコミュニケーション科学基礎研究所の「こども語」調査でわかった赤ちゃんの発語ランキングと、その月齢を見てみたいと思います。
順位 | ことば | 月齢(50%到達月齢) |
1 | (いないいない)ばぁ! | 14.2ヶ月 |
2 | まんま | 14.8ヶ月 |
3 | わんわん | 15.5ヶ月 |
4 | ママ | 15.9ヶ月 |
5 | はい | 16.6ヶ月 |
6 | あっ | 16.7ヶ月 |
7 | パパ | 16.8ヶ月 |
8 | バイバイ | 16.9ヶ月 |
9 | あーあ | 17.4ヶ月 |
10 | アンパンマン | 17.9ヶ月 |
コナン君ばりの観察力のある方はお気づきのように、
2つの共通点があります。
それは、発音のしやすさと赤ちゃんの興味関心が強いもの。
ひとつずつ紐解いていきましょう。
①発音のしやすさ
口や舌の動きが未熟な赤ちゃんにとって、子音の発音はむずかしく、比較的早めに発音できるようになる子音が「マ行」「バ行」「パ行」と言われています。
有名な説ではありますが、「アンパンマン」という名前は赤ちゃんが発音しやすい言葉で構成されています。これは偶然なのか計算なのか、やなせ氏のみが知る…
②赤ちゃんの興味関心
2つ目は赤ちゃん自身の伝えたいことや強い興味があるかどうか。
例えば、「まんま」と言うのは、『おなかがすいた、何か食べさせて』というメッセージですし、『(いないいない)ばぁ!』はママやパパの笑顔が見たくて発語するものです。
加えて言葉が頻繁に出てくると、赤ちゃんは言葉を覚えて発語してみようという意欲に繋がります。
方程式に当てはめると、
興味+登場頻度+発音しやすさ=発語
と言えそうですね!
ちなみに、早く理解できることばのランキングは、というと、
順位 | ことば | 月齢(50%到達月齢) |
1 | 自分の名前 | 6.7ヶ月 |
2 | ばいばい | 8.7ヶ月 |
3 | おいで | 9.0ヶ月 |
4 | (いないいない)ばぁ ! | 9.3ヶ月 |
5 | まんま | 9.4ヶ月 |
言葉の獲得と比べると、当たり前ですが月齢はその半分くらいになり、早い段階で理解していることが伺えます。なるほどなるほど、保育や育児に活かせそうですね。
発語が遅い子に見られる3つの原因
上の表を参考にしたとしても、やはり我が子は発語が遅いのでは?
と不安に思ったご両親。
まずは、考えられる理由を挙げて、不安をしらみ潰しにしていきましょう。
発語が遅い子に見られる3つの原因
- 聴覚の問題
聴覚に問題があると、言葉の発達に影響を与えることがあります。赤ちゃんが音や声に反応しない場合、聴覚検査を受けることをおすすめします。 - 家庭環境
家庭環境も大きな影響を与えます。例えば、家庭での会話が少ない場合や、赤ちゃんに対してあまり話しかけない場合、発語が遅れることがあります。逆に、家庭内で多くの言語が飛び交っている場合、赤ちゃんがどの言語を優先して習得すべきか混乱することもあります。 - 発達障害
自閉症スペクトラム障害(ASD)や他の発達障害が原因で発語が遅れることもあります。もし、他の発達の遅れや行動の異常が見られる場合は、専門家の診断を受けることが重要です。
この3点にあてはまらなそうであれば、おそらくそれは【個人差】です。
ある赤ちゃんは早くからおしゃべりを始める一方、別の赤ちゃんはゆっくりと進むこともあります。例えば、ある子は1歳で「ママ」「パパ」と話し始めるかもしれませんが、他の子は2歳近くになってから言葉を発することも珍しくありません。
我が家の長女に至っては、2歳すぎても「あーうーわー」がメインでした。
悩んだなぁ~。。
もちろん今となっては問題なく話せています。
発語に繋がらなかった理由は、保育職だからこそ子どもが言いたいことが動作で伝わってしまい、子どもが自分から話す意欲を削いでしまっていたのかな…と思います。
赤ちゃんが話したくなる!発語に必要な条件
先述した通り、発語には赤ちゃん自身が話したくなる意欲、つまりコミュニケーションを図ろうという意欲。
赤ちゃん自身、どこまでコミュニケーションにおいて能力が高まっているのか、発語に必要な条件を挙げてみました。
✅こちらが言っていることが分かるかどうか
✅他の人に対して興味があるかどうか
✅真似することが増えているか
✅声を出すことが増えているか
この4つの条件が揃っていれば、もうまもなく!
発音しやすく、赤ちゃんが能動的に発したくなる言葉を覚えれば、おそらくいけるのでは…!?
では、赤ちゃんが言葉を覚えるために有効的なものはなんでしょう。
おすすめするのは‥‥ずばり!
絵本!
赤ちゃん向けの絵本は赤ちゃんの視覚に配慮した色合い(原色)のものや、オノマトペや繰り返し言葉を使って興味を引くものが多いです。
ママやパパのお膝の上に座って絵本を読んでもらうと、スキンシップも図れて赤ちゃんはとても幸福度が上がり、特別な時間となります。また、スキンシップによりオキシトシンも分泌されるのでリラックス効果が出て、記憶力も上がります。
また、絵本は赤ちゃんが「楽しい」「面白い」と思える内容で作られているので、赤ちゃんはポジティブな刺激を受けて、喋りたいという「意欲」を掻き立てられます。
絵本を使うことで、発語に必要な「単語の理解」と、喋りたいと思う「意欲」の2つを育てる事ができます。
では保育士目線で、発語を促すためのオススメの絵本をいくつか紹介します!
発語を促すおすすめの絵本
『あかちゃんごおしゃべりえほん/かしわらあきお』
NTTコミュニケーション科学基礎研究所の「こども語」調査データより、「あかちゃんが早く言えることばランキング」トップ100(1位「(いないない)ばあ」2位「まんま」3位「わんわん」4位「ママ」5位「パパ」など)の言葉で構成。「あかちゃんが早く言えることばランキング」データトップ100でつくりました。
くりかえしの語りかけであかちゃんの発語をサポートしてくれます!「あかちゃんが早く言えることばランキング」トップ100の言葉が、連想ゲームのようにつながった、読みごたえのある1冊。
作・絵は、あかちゃん絵本殿堂入り『しましまぐるぐる』のかしわらあきお先生です。
『あかちゃんごおしゃべりずかん』発語を促す姉妹版絵本『あかちゃんごおしゃべりえほん』と2冊セットで、言葉を話し始める生後6ヶ月のハーフバースデーや、1歳の誕生日プレゼントにぴったりな図鑑です。
『だるまさんシリーズ/かがくいひろし』
赤ちゃん、大好きですよね、この本。
保育園で働いている時、毎日誰かしら持ってきて読んでいました。
だるまさんと同じような動作で読むと、子どもも次第に覚え、
一緒に「ドテッ」とか「ギュっ」と発語するので可愛くて仕方ありませんでした!
『おべんとうバス/真珠まりこ』
こちらは名作。5人中1人はドハマりする印象にあります。
「ハンバーグさーん はーい!」と様々な食べ物が返事をするので、
「はーい!」を覚えるのに大変効果的。
また、食べ物を覚えたり、お弁当の魅力を学んだりすることもできます。
『じゃあじゃあびりびり/まついのりこ』
こちらはなんと初版は1983年刊のロングセラー。
いまだに大人気で、多くの施設で必ず目にします。
「じどうしゃ ぶーぶーぶーぶー」「みず じゃあじゃあじゃあ」楽しく明解な絵とリズミカルなことば。音から物を認識できるので、赤ちゃんのシナプスを刺激して語彙力が上がります。
また色合いが赤ちゃんが認識しやすい構成なので、0歳でも興味を引いて自分でページをめくることもあります。
併せて伝えたい!絵本と読む時に気をつけるポイント
絵本を読むことで、赤ちゃんの語彙力の向上はもちろん、集中力や心の安定、想像力が育まれる効果があります。どうせ絵本を読むならば、より効果を上げたくないですか?
せっかくですので、赤ちゃんの興味を引くことができる気をつけるポイントを下記に挙げました。
参考にしてみてください。
- 子どもが絵をしっかり見られるように、絵本の持ち方や見せ方に気をつける
- リラックスして自然な声で読む
- 登場人物や場面に合わせた声のトーンや強弱をつける…想像力の向上!
- 集中力が保てるスピードで読む…赤ちゃんの集中力は、『年齢+1分』と言われています
- 絵本のページをめくる時…子どもがめくろうとしていたらめくらせてあげる
- 読み聞かせの導入部分で、子どもの興味を引くような話題や質問をする…話に入り込みやすくなります!
- 読み聞かせの終わり方で、子どもの感想や感情を聞いたり、絵本に関連する遊びや活動を促す…言語化の訓練に繋がります!
まとめ
いかがでしたか?
赤ちゃんの発語が遅れていると心配になることは当然ですが、まずは焦らずに赤ちゃんのペースを尊重することが大切です。個人差があるため、すべての赤ちゃんが同じタイミングで言葉を話し始めるわけではありません。家庭でできる対策を試しながら、必要に応じて小児科医や言語療法士に相談することをオススメします。
お子さんの成長を見守りながら、楽しく言葉の学びをサポートしていきましょう。
発語の遅れが気になる場合でも、日常生活の中でできる工夫を取り入れることで、少しずつ変化が見えてくることもあります。
家でできる事と言えば、①ゆっくりとした口調で沢山話し掛けること ②(できれば膝にのせて)絵本を読むこと ③お手本を見せること。親が楽しそうに言葉を話ていれば、自分も真似してみよう!と思うはず!
あまり深く悩まずに、楽しいコミュニケーションを大切にして育児に取り組んでみてくださいね!
参考文献: