どこまで仲介すべき?兄弟喧嘩のメカニズムについて

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今日も賑やかに兄弟喧嘩(きょうだいけんか)。
親としてはすぐにでも鎮静化を図りたいところですが、実は兄弟喧嘩は子どもにとってメリットが5つもあります。

今回の配信では兄弟喧嘩における年齢や性別の特徴から始め、そのメリットと成長過程ごとの対応方法についてお伝えします。

兄弟喧嘩:年齢による特徴

兄弟間の喧嘩は、成長の過程で自然に発生するものです。今回は乳児期(※)、幼児期、学童期という三つの成長過程に分けて、なぜ喧嘩が発生するのかを詳しく見ていきます。※ここでは多くの保育園のクラス分けで取り入れられている成長過程を基準にしています。

乳児期(1~3歳)

乳児期の子どもたちは、自我の発達が始まるため、自分の欲求を最優先とする性質があります。この時期の兄弟喧嘩は主に以下の特徴が見られます。

  • 自己中心的な行動: 乳児期の子どもたちは、まだ共感や配慮が十分に発達していません。このため、自分の欲求を満たすために行動し、それが兄弟との衝突につながることが多いです。
  • おもちゃの取り合い: 最も一般的な喧嘩の原因の一つです。自分が使用しているおもちゃや、自分のものと認識しているアイテムを他の兄弟が触ることに対して、激しい反応を示すことがあります。
  • 注意を引きたい: 兄弟が親の注意や愛情を他の兄弟と分け合うことに対する嫉妬から、注意を引くための行動を取ることがあります。
  • エネルギーのありあまり: 乳児期の子どもはエネルギーが溢れており、それを適切に発散する方法を知らないため、時に物理的な行動に出ることがあります。これが喧嘩につながることがあります。
  • 言葉による表現が難しい: 言葉で自分の感情や要求を正確に伝えることが難しいため、泣いたり、手を使ったりして意思表示をすることがあります。

たまに噛みつく子がいますが、例え喧嘩の場面と言っても相手を傷つけたいと意識しているわけではなく、単に「イライラしたから」と興奮を冷ます目的で行う子どももいます。

この時期の喧嘩は、子どもが社会的なスキル感情のコントロール学ぶための重要なステップとも言えます。親は適切に介入し、子どもたちが互いに尊重し合い、共有することの大切さを学べるように導くことが求められます。

幼児期(3歳~6歳/未就学児)

幼児期の兄弟喧嘩は、子どもたちが社会的スキルと感情のコントロールを発達させる過程でよく見られます。この時期の主な喧嘩の原因は以下の通りです。

1. 注意を引きたい

幼児は特に親の注意と愛情を求めるために、兄弟との競争を始めることがあります。これは親の注意を引くための一種の戦略となることが多く、喧嘩を通して自分の存在を確認しようとします。

2. 社会的スキルの欠如

幼児期には言語能力や感情表現が完全には成熟していません。そのため、フラストレーションの管理や適切な対人スキルの欠如が喧嘩の原因になることがあります。

3. 所有権の概念

幼児期から子どもたちは「私のもの」という概念を学び始めますが、同時に共有することの重要性についても学んでいる最中です。自分のおもちゃやアイテムを共有することへの抵抗が喧嘩の火種となることがあります。

4. エネルギーがありあまっている

幼児はエネルギーが溢れており、それを適切に発散する方法をまだ完全には理解していません。このため、物理的な行動で感情を表すことが多く、それが喧嘩につながることがあります。

5. 環境変化への適応

家庭環境の変化(例えば、新しい赤ちゃんの出生、引っ越し、保育園の開始など)に適応しようとする過程で、不安やストレスが喧嘩を引き起こすことがあります。

学童期(6歳~12歳/小学生)

学童期の子どもたちは、さらに複雑な社会的交流を経験します。この時期の喧嘩は、競争心縄張り争い正義感の違いなど、より抽象的な理由に基づくことが多くなります。また、友達関係の影響を受けた行動が家庭内に持ち込まれることもあります。

1. 個性や意見の違い

学童期の子どもたちは自己主張が強くなり、自分の意見や考えが他の兄弟と異なることから喧嘩に発展することがあります。彼らは自分の考えを通そうとするため、議論が激化することがあります。

2. 競争心

学校での成績やスポーツ、親の注意など、さまざまな面で兄弟間の競争が見られます。この競争心が原因で、互いに優劣をつけたり、比較されたりすることで感情的な衝突が起こることがあります。

3. 縄張り争い

自分のプライバシーや所有物に対する意識が高まるため、個人のスペースや物の所有権を巡って争いが発生することがあります。例えば、部屋の片付けや物の貸し借りがトリガーになることがあります。

4. 社会的な影響

友人関係や学校生活のストレスが家庭内の兄弟関係に影響を与えることがあります。外でのプレッシャーが家庭内でのイライラとして表れ、それが兄弟喧嘩につながることがあります。

5. 正義感の違い

正しいと思うことへの理解が深まり、それが兄弟間で異なる場合、その見解の違いから喧嘩になることがあります。例えば、何が公平か、何が正しい行動かなどの価値観の違いです。

6. 情緒の波

成長過程における情緒的な安定性がまだ完全には成熟していないため、些細なことで怒りや悲しみが顕著に表れることがあり、それが喧嘩に発展することがあります。

兄弟喧嘩:男女の違い

兄弟間の喧嘩において、男女の違いはあります。性別による行動の特性や社交スキルの違いは、喧嘩の原因や対処の方法をにおいても重要な役割を果たします。

1. 表現の仕方の違い

  • 男の子: 男の子は感情を物理的な行動で表す傾向が強いです。喧嘩が直接的で、しばしば身体を使ったものとなることがあります。遊びが激しくなりやすく、その中で競争心が芽生えやすいです。
  • 女の子: 女の子は言葉や非言語のコミュニケーションを用いることが多く、感情や思いを包含した言葉で表現することが一般的です。喧嘩も言葉を通じて行われることが多く、社交的な解決を図る傾向にあります。

2. 愛情表現やジェラシー

  • 男の子: 兄弟間の競争が明確で、支配したいという欲求が強いです。そのため、力の示し合いとしての喧嘩が多いことが特徴です。
  • 女の子: 愛情や注意を引きたいという動機が喧嘩の背後にあることが多く、特に親に対するジェラシーが原因で起こることがあります。

3. 焦点となるトピック

  • 男の子: 縄張り争い物に対する所有権をめぐっての喧嘩が多いです。例えば、おもちゃやゲーム、スペースの占有などが焦点となります。
  • 女の子: 友情や関係性、社交的な順位など、対人関係を中心とした問題が喧嘩の原因になりやすいです。これには、秘密の共有や信頼の問題が含まれることがあります。

4. 解決策に対するアプローチ

  • 男の子: 直接的かつ迅速な解決を好むことが多く、喧嘩後の和解もスピーディーなことが一般的です。
  • 女の子: 継続的な対話を通じて感情的な解決を図ることが多く、和解までに時間がかかることがありますが、その過程で関係の深まりが見られることもあります。

5. 親との関係

  • 男の子: 競争心を刺激されやすく、特に父親との関係でそれが顕著になることがあります。
  • 女の子: 感情的な支えや安定感を求める傾向にあり、特に母親との密接な関係がそれを映し出しています。

兄弟喧嘩:メリット

兄弟喧嘩には、一見するとネガティブな面が目立ちますが、実はいくつかのメリットも存在します。

  1. コミュニケーションスキルの向上: 兄弟喧嘩を通じて、相手の立場や感情を理解し、自分の意見を表現する方法を学びます。これにより、コミュニケーションスキルが向上し、他の人との関係をより良く築くための能力が高まります。
  2. 問題解決能力の養成: 喧嘩の際には、問題解決能力が試されます。兄弟同士で議論し、折り合いをつけることで、問題解決のスキルが向上します。これは将来、仕事や人間関係で役立つことがあります。
  3. 感情の表現と管理: 喧嘩を通じて、自分の感情を表現し、他者との間で適切にコントロールする方法を学びます。感情を適切に扱うことは、ストレスを軽減し、心の健康を促進する上で重要です。
  4. 絆の強化: 兄弟喧嘩を通じて、兄弟間の絆が強化されることもあります。喧嘩を通じてお互いの弱点や強みを理解し、相手をより深く尊重することができるようになります。
  5. 自己主張の重要性の理解: 兄弟喧嘩は、自分の意見や価値観を主張する重要性を理解する機会でもあります。自己主張することで、自己確立が促進され、自信が養われます。

成長過程ごとに解説!おすすめの親の対応

兄弟喧嘩は子どもたちの成長過程で避けられないものです。各成長過程で適切な対応を理解し、実践することが大切です。

乳児期の対応(1~3歳)

乳児期の子どもたちは言語表現が未発達なため、行動を通じて意志を表現します。親は以下のように対応することが効果的です。

  1. 言葉での案内: 子どもが行動に出る前に、何が起こっているのかを優しく説明します。
    例:「お兄ちゃんがそのおもちゃで遊んでいるから、待ってね」
  2. 代替案の提供: 喧嘩になりそうな時は、他のおもちゃや活動を提案して注意をそらします。
    例:「順番で遊ぶのと、ママが一回その玩具を預かるから二人とも違う玩具で遊ぶのと、どっちがいい?」「順番を待っている間は○○をしていたら?」
  3. 感情の名付け: 子どもの感情を言葉で表し、理解することを助けます。
    例:「悲しいのね」とか「怒っているのかな?」と声に出して感情を認識させ、共感を示します。

幼児期の対応(3歳~6歳)

幼児期の子どもたちは自我が芽生え、自己表現が豊かになりますが、感情のコントロールは未熟です。

  1. ルールの設定: 家庭内での基本的なルールを設定し、守らせるようにします。例えば、「おもちゃは交代で使う」といったシンプルな共有ルールを定めます。もしも喧嘩してしまった後でも、「どうしたら2人とも気持ちよく遊べるかな?」と解決方法を自分達で考えさせることも有効です。
  2. 感情のコントロールを教える: 感情が高ぶった時にどう対処すれば良いかを教えます。深呼吸をする、カウントをする(1から10まで数える)、一時的に場を離れるなどの方法を示します。
  3. 公平性の保持: 兄弟が等しく注意と愛情を受けられるように心がけます。どちらか一方に偏らないように配慮することが大切です。
  4. 仲裁をする:幼児期は5歳くらいから相手の気持ちを配慮できるようになってきます。仲裁する際はその訓練に繋がるような働き掛けをオススメします。
    (1)1人が自分の気持ちとしたいことを言う…「どうして欲しいのか、○○君に言葉で伝えようか。」
    (2)話を聞いた子に復唱させる…きちんと聞いていたかどうか確認
    (3)交代して同じように。
    (4)大人がさらに復唱する…客観的に聞いて、頭の中で整理させる。

学童期の対応(6歳~12歳)

学童期の子どもたちは社会性が増し、友達との関係など外の世界の影響を受けやすくなります。

  1. 話し合いの促進: 喧嘩の原因を話し合いで解決する方法を奨励します。それぞれの意見を言葉で表現することで、相手の立場を理解しやすくなります。
  2. 解決策の共同作成: 互いに納得する解決策を一緒に考えさせます。これにより、問題解決能力や協調性を育てることができます。
  3. 個別の時間の確保: 兄弟それぞれと個別に過ごす時間を持つことで、特別感を持たせ、ジェラシーを減らす手助けをします。

まとめ

いかがでしたか?
兄弟喧嘩はただ賑やかなだけでなく、子どもが社会性や自己表現力を身につけるためにも大変有効な練習の場ということがおわかりいただけたと思います。

部屋で賑やかに喧嘩をされると聞いている大人も余裕がなくなりますが、そんな時は
・メリットを思い出して客観的に子どもの成長を見守る
・一度外の空気を吸いに出て、冷静さを取り戻す

ことをオススメします。

また、お子様が小学生くらいの場合、Wheel of Choiceについて話し合うこともオススメです。こちらは海外で行われているアンガーマネジメントのひとつで、イライラした時にどんな行動を起こすか選択肢を見つける手助けをしてくれるものです。「怒鳴る・我慢する・暴力を振るう・ものを乱暴に扱う・八つ当たりする」を除いたものなので、怒りという感情に対して平和的に向き合えるようになります。

Wheel of Choice(ホイールオブチョイス)の作り方

まず円を書き、いくつか選択肢を書きます。例えば、「相手に『やめて』と言う」「助けを求める」「謝る」「離れる」「クールダウンスポットにいく」「家族会議を開く」「無視する」など。行動をイラストにしてあげると、発生したイライラに対してどの選択を選ぶかわかりやすくなり、怒りに向き合いやすくなります。

大人でも有効ですので、イライラした時感情的になりやすい方は是非取り組んでみてください。
大人の方への選択肢としては、例えば、
速やかに忘れる…頭の中でシャットアウト
・〇分後にもう一度話そうと約束をする…外に出て深呼吸をしたり、甘い物を食べる
どうして欲しいか伝えた上で、相手の話をさらに詳しく聞く
謝罪する
・第三者を間に入れる、絵や文章で現状を整理する…客観的に状況を把握する
代替案を出す
などがおすすめです。

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