「次々とおもちゃを替えて遊んでしまう我が子。ひとつのおもちゃで遊ぶ時間はたったの3分!
集中力なさすぎでは?」
「勉強して欲しいのに、1ページも終わらずにすぐ怠慢。授業でもついていけてるのか心配…」
など、集中力について悩むご家庭は多いですよね。
集中力は高い方が良いです。
集中力が高いと学習効果が高く、新しいスキルを柔軟に習得できるため、変化に強くなります。また集中力によりミスが減り、ストレスも軽減され、精神的な安定が得られます。長期的な目標達成にも一貫して取り組めるため、成長意欲が高く、自己実現に繋がる人生を歩むことができます。
まぁ素晴らしい。
しかし大人でも集中できる時間は短いのに、好奇心旺盛な子どもの場合はどうなんでしょう。
今回の配信では、子どもの「集中力」について紐解いていき、「年齢ごとの集中力が持続する時間」「集中力の高め方」などをお伝えしていきます!
まずは、子どもはどのくらい集中力が続くか見ていきましょう。
絵本や遊びに興味を持ち始める1歳から5歳の乳幼児期。学習の基礎を学ぶ6歳から10歳までの学童期を対象として書き出していきます。
基礎知識|年齢による集中力が持続する長さ
集中力の持続時間については、教育心理学やモンテッソーリにおける複数の研究でわかっています。ただ、個人差があるので、目安としてご覧ください。
乳幼児(1~5歳)
- 1歳:2~3分
- 2歳:3~5分
- 3歳:5~8分
- 4歳:8~10分
- 5歳:10~12分
学童期(6歳~10歳)
- 6歳:12~15分
- 7歳:15~18分
- 8歳:16~20分
- 9歳:18~22分
- 10歳:20~25分
この集中力の目安は、単純な遊びや学習活動などにおいて観察された時間です。ご覧いただけるように、一般的には1歳から10歳までの子どもの集中力の持続時間は年齢とともに少しずつ長くなります。
\一口メモ!/ 大人はどのくらい集中力があるの?
大人の集中力の持続時間は、一般的に 15分から50分程度 とされています。
単純な作業:30~50分程度、高度な思考が必要な作業:15~30分程度
人間の集中力はおおよそ20~30分ごとに低下しやすいため、50分集中した後は5~10分程度の休憩を取ると、効率が保ちやすいとされています。
いわゆる「ポモドーロ・テクニック」。
時間を区切って集中と休憩を繰り返すことで、集中力を維持する方法です。
集中力がないように見える理由
あれ?またうちの子集中してない!と思った場合、まず前提として思い出して欲しいのは、
「脳の発達が未熟」「子どもは好奇心の塊」だということ。
子どもの脳、特に集中力や計画を司る前頭前皮質はまだ発達途上です。この領域は注意力のコントロールや抑制力に関わるため、未熟な脳では意識を長時間一つのことに向け続けるのが難しいのです。
さらに好奇心の面で言えば、幼ければ幼いほど好奇心が強く、新しい刺激に敏感です。興味が移りやすいため、たとえ目の前の遊びや作業に没頭していても、別の刺激があるとそちらに気が散りやすくなります。
他にも「疲れやすい」ことや、自分の気持ちをコントロールする「自己調整能力が未熟」という理由も挙げられます。
そのことをわかっているだけでも、集中できない子どもに対して少しは寛容になるのではないでしょうか。
子どもが驚異的に集中力を発揮している時の理由
一方で、ものすごい集中力を発揮している時ってありますよね。
例えば好きなオモチャで遊んでいる時や好きなキャラクターの絵本や図鑑を読んでいる時。
何度声を掛けても反応が鈍く、一時間、二時間と集中している時。
普段は集中力が長い方ではないのに、何故とあるカテゴリーに関しては集中できるのか。
一番の理由は「内発的動機づけ」が働くから。
自分が心から興味を持ち、楽しみたいという気持ちがあると、人は自然に集中力が高まります。
大人でもそうですよね、推しのアイドルだとか好きなキャラについて調べるとあっという間に時間が伸びる。あれと同じです。
\一口メモ/テレビや動画は集中して観られるのはなんで?
テレビやYouTubeなどの動画配信は、なぜ集中して観ることができるか。
理由としては、
視覚・聴覚の刺激、短いシーン切り替え、さらには基本的に視聴者は情報を受け取るだけで思考をあまり必要とないから。
また子供向け番組は、物語の流れがシンプルでわかりやすく、魅力的なキャラクターも登場します。 子どもは物語やキャラクターに感情移入しやすく、関心を維持しやすかったり、特に新しい映像や興味深い展開は脳の報酬系を活性化させ、興味が強くなりやすくなります。
このようにテレビや動画は子どもの注意を強く引きつけるように設計されています。
そのため、積極的な学習や思考力を必要とする活動とは異なると言えそうですね。
どうやったら伸びる?子どもの集中力の育て方
子どもの集中力の持続時間や集中力についての特徴を見てきました。
ではようやく本題。
「どうやったら子どもの集中力が育つか」
ここでは「乳児期」「幼児期」「学童期」に分けて説明していきましょう。
その前にまず3つに共通することからお伝えさせていただきます。
忘れやすい方はここだけでも抑えて帰ってくださいね。
■集中できる環境を作る
子どもが集中できるように一番大切なのは「集中できる環境を作ること」
視覚や聴覚の刺激が多すぎると気が散りやすくなるため、テレビや音楽は消しましょう。
また周りにおもちゃがたくさんあると注意が散りやすくなるので、遊ぶ場所や時間を決めて、集中できる環境を作ってあげましょう。学童期の場合、勉強机の上はなにもない方が余計な視覚情報が入ってこないので効果的です。
■遊びの時間を区切る
集中できる時間は成長とともに変わっていきますが、最初は数分程度の短い時間で十分です。「もう少し遊びたい」と思えるところで一旦終わらせると、次に遊ぶ時の興味が高まり、集中して取り組みやすくなります。
また潜在意識にも効果的に働きます。潜在意識は現状維持に努めるために新しく始めるものを排除しようとする傾向にありますが、少しずつ始めることで誤魔化しながら進めていけます。
■無理強いをしない
集中力は少しずつ育っていくものなので、無理に「長時間集中させよう」としないようにしましょう。無理やりやらされると、脳にストレスがかかり、その行動に対して苦手意識が芽生えます。子どもは楽しいことには集中して取り組めるので、見守る姿勢が大切です。
乳児期の場合
ではここから成長過程別にみていきましょう。
赤ちゃんの頃から集中力を育てるためには、遊びや日常生活の中で少しずつ集中力を養う方法を取り入れることが大切です。赤ちゃんは成長とともに集中できる時間が少しずつ伸びていくので、無理なく楽しい体験を通して「集中することが楽しい」と感じられるようにサポートするのが良いです。
①シンプルな遊びを取り入れる
- 色や形が分かりやすいおもちゃ:赤ちゃんは視覚から入る情報に敏感なので、カラフルなブロックや形のはっきりしたおもちゃを使ってみましょう。一つのおもちゃでしばらく遊ぶようにすると、自然に集中力が高まります。
- 音や触感のあるおもちゃ:布製の触り心地が異なるおもちゃや、優しい音が出るガラガラなど、五感を刺激するものも集中力を高めやすいです。また触感を通して脳に刺激を与え、指先の運動にも繋がります。
赤ちゃんがカラフルなおもちゃや好きな音の出る物に触れると、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・知覚)を通して脳に刺激がいき、ドーパミンが分泌されます。すると脳の特定の領域が活性化され、「もっと遊びたい」という気持ちが生まれて集中力も自然と高まります。
この状態を少しずつ経験することで、「集中すること=楽しい」と脳が学び、集中力が徐々に身についていきます。
②一対一での関わりを重視
- 親子のふれあい:特に赤ちゃんの月齢が低いときは、親が近くで関わってあげると集中しやすくなります。声をかけたり、顔を見合わせたりしながら遊ぶと、赤ちゃんも安心して遊びに集中しやすくなります。親とのスキンシップや優しく声をかけることによって、赤ちゃんの脳から「オキシトシン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。このホルモンは「幸せホルモン」とも言われ、赤ちゃんが安心して集中できる環境を作るお手伝いにになります。
③絵本や歌でリズム感を養う
- 絵本:簡単なイラストやシンプルなストーリーの絵本を見せて、短い時間でも集中する体験をさせましょう。「めくる」という動作も一緒に楽しめます。
- 歌やリズム遊び:歌や手遊びもおすすめです。音楽に合わせて手をたたいたり、リズムに乗ることで、リズム感が集中力の発展に繋がります。
\一口メモ/赤ちゃんの興味・関心のあるものがわからない場合…
そもそも赤ちゃんが今なにに興味や関心を持っているかわからない家庭も多いと思います。
そんな時はものを観察してみましょう。
興味を持っていると赤ちゃんは対象物をじっと見たり、反射的に手を伸ばそうとします。
それが赤ちゃんの「興味・関心」の対象です。
嫌いなものに対しては目を背けたり、不快な感情を示すので、その点も併せて探ると親子のコミュニケーションが上がりそうですね。
幼児期の場合
幼児期から集中力を伸ばすためには、遊びや日常生活の中で自然に集中力を養う環境や関わり方が重要です。
①興味を引き出す遊びを取り入れる
子どもが興味を持てる遊びや活動を取り入れることが重要です。絵本の読み聞かせやパズル、ブロック遊びなど、年齢や好みに合わせた遊びを通じて、自然と集中する時間を増やしていきます。
② 達成感を与える
パズルの完成や積み木を高く積むなど、成し遂げた喜びを感じられる遊びを取り入れます。達成感を感じることで、「次も頑張ろう」という意欲が生まれ、集中力が徐々に強化されます。
③ 親が見守る姿勢を大切にする
親が見守ることで、子どもは安心して活動に集中できます。すぐに助けるのではなく、子どもが自分で工夫する時間を尊重し、自分で達成できる喜びを味わわせることも大切です。
学童期の場合
学童期(6~12歳)からは、少し大人寄りになっていきます。
小学生にあがっていきなり始めるのはストレスになってしまうので、子どもに合った方法で少しずつ取り入れると効果的です。
① 時間を区切って作業を行う
- ポモドーロテクニック: 学童期の場合、25分の集中作業+5分の休憩を繰り返すことも効果的です。短時間で集中し、適度に休憩を取ることで集中力が持続しやすくなります。
- タイマーを使う: 集中している時間を見える形にすることで、時間の感覚を養うことができます。時計やタイマーを使うと、子どもが自分で時間を意識しやすくなります。
②習慣を作る
- 毎日のルーチン: 朝起きてから学校に行くまで、そして帰宅後の時間を規則正しく過ごすことが大切です。一定の生活リズムは集中力を高める助けになります。
- 休憩と遊びを取り入れる: 集中するためにはリフレッシュが必要です。勉強や作業の合間に体を動かすことや遊びを取り入れて、脳をリセットすることが有効です。
③ポジティブなフィードバックを与える
- 努力を褒める: 結果よりも過程を重視し、「集中してよく頑張ったね!」と声をかけることで、子どもは集中することに自信を持てるようになります。
- 自分のペースで進める: 他の子どもと比較せず、子どもが自分のペースで課題に取り組むことができるようサポートしましょう。
④脳の発達をサポートする食事と睡眠
- バランスの取れた食事: 集中力を高めるためには、脳に必要な栄養素が重要です。特に、オメガ3脂肪酸(魚などに含まれる)、ビタミンB群(野菜、果物)、鉄分(赤身肉、魚)を意識して摂取しましょう。
- 十分な睡眠: 子どもの集中力には良質な睡眠が不可欠です。毎晩、一定の時間に寝かせ、睡眠の質を高めることが集中力に良い影響を与えます。
⑤楽しい学習方法を取り入れる
- ゲーム感覚で学ぶ: 数字や文字のパズル、ロジックゲームなどを取り入れて、学習を楽しく、かつ集中しやすい形で進めましょう。
- 視覚的・体験的学習: イラストや図、実際に体験しながら学ぶことで、より集中しやすくなります。
まとめ
いかがでしたか。
文頭でもお伝えしましたが、集中力が高いと学習効果が高く、新しいスキルを柔軟に習得できるため、変化に強くなります。長期的な目標達成にも一貫して取り組めるため、成長意欲が高く、自己実現に繋がる人生を歩むことができます。
しかし集中力といっても個人差はあります。
また、「好きなことには好き」と言ったように、集中できるものはきっとあります。そこを拾って伸ばしてあげることが、子どもの個性を伸ばすことに繋がるのではないでしょうか。
子どもの興味関心がなにに向くかなんて本人にすらわかりません。
親としてできることはサポートしてあげること。今のお子さんの年齢から集中力を高められるように静かな環境づくりや、興味関心を伸ばすこと、ストレスを緩和するためにスキンシップや声掛けでオキシトシンを分泌させてあげること。
ポイントはおおよそ判明しているので、是非取り組んでみてください。
参考文献:https://montessorischoolalmeria.es/wp-content/uploads/2021/05/montessori-science-behind-genius.pdf
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