子どもが約束を守らなかった時の対処法

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子どもとの約束。

例えば、
「17時までに家に帰ってきて」
「必ず今日中に、この宿題を終わらせようね」

もしもこの約束が果たされなかった場合、あなたはどう対応します?

親としては子どもには約束を守れる人になって欲しい
そう思うのは当然のこと。
でずが、あまりにも気持ちが強く、この約束が破られてしまった場合は裏切られたようなショックがありますよね。時には嘘つくことも。

うちの子は約束を守れない…大人になってからも嘘をついて非行に走るのではないか。
と先々の不安まで抱えてしまうことも。

もしも今期待を裏切られて傷ついてる人、子どもに対して冷静に対処できずに悩んでいる人がいたらこの配信は必見。

約束を破られた時、保護者の脳ではどんな変化が生じているかから始まり、
子どもはどこまで約束を守る力があるか、子どもと約束を交わす時のコツなどを脳科学的、そして発達心理学的な観測を踏まえて説明していきます!

約束を破られると、脳で起きる6つの変化

約束を破られたとき、脳では特に感情や信頼に関わる脳の部位が影響を受け、ストレスや不安感が生じます。
具体的には下記6つの変化が生じると言われています。

① 扁桃体(へんとうたい)の活性化

扁桃体は、脳内で特に感情反応を司る部分です。

約束を破られたとき、特に「裏切り」や「不公平」と感じると、この扁桃体が強く反応し、怒りや不安、悲しみといった強いネガティブな感情が引き起こされます。この感情反応は、体が「危険」や「脅威」を感じる状況に似ており、心拍数の上昇やストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が促進されます。

② 前頭前野の抑制

前頭前野は、理性的な判断や自己制御、感情の調整を行う部分です。

①の扁桃体が活性化すると、前頭前野の働きが一時的に抑制されます。これにより、冷静な判断が難しくなり、感情的に反応しやすくなります。つまり、約束を破られた直後は、理性的に「仕方がない」と思えず、感情的に反応してしまうことが多くなります。

③ ストレス反応とコルチゾールの分泌

約束を破られると、脳はそれを「ストレス」として認識します。これにより、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。

コルチゾールは短期的に体を「戦闘モード」にして危機に対処する働きをするので、最悪の場合突発的に相手に手が出てしまうことも。

④ 信頼とオキシトシンの低下

約束は信頼関係の一部であり、約束が破られると信頼が損なわれた形になります。
信頼は、オキシトシンというホルモンによって強化されますが、約束が破られたと感じると、オキシトシンの量が低下します。

オキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、他者とのつながりや信頼感を強化する役割を果たします。そのため、約束を破られたときには、このホルモンが減少し、他者との絆が弱まる感覚が生まれるのです。

人によって約束が破られた時のショックが変わるのは、おそらくここですね。家族の絆は特に強いから、より敏感になってしまうのかも。

⑤ 報酬系の期待と失望

脳は「期待」によってドーパミンという【報酬系】の神経伝達物質を放出します。
約束をしたときには、その約束が果たされることを期待し、それに基づいて脳内にドーパミンが分泌されます。しかし、約束が破られると、ドーパミンの放出が抑制され、脳は「期待外れ」を感じます。このため、失望感や虚しさ、さらには「この人にはもう期待できない」という感覚が生まれやすくなります。

⑥ 社会的痛みの感覚

約束を破られたときに感じる心理的な痛みは、脳にとって物理的な痛みと似た反応を引き起こすことが研究で示されています
特に前帯状皮質という脳の領域が、社会的な痛み(拒絶や裏切り)を感じたときに活性化します。これは、友人や家族など、親しい人からの約束が破られたときに強く感じられ、心の痛みとして経験されるのです。

以上6点を簡単にまとめると、
約束を破られた場合、脳は感情的な反応を強く示し、特に扁桃体が活性化してストレスホルモンが分泌されることでカッとなりやすい。また、オキシトシンの低下、ドーパミンによる期待感と失望の感覚も脳の活動に大きく影響する。

なるほどね。
報酬系は想像できていたけど、脳内で起きる変化をより細かく言語化できた気がする。

この脳の変化を知った上で、約束を破られたらどう対応します?
約束を破った相手に感情をぶつける?まずは相手の立場や状況を知ろうと思う?

建設的かつsmartなのは後者。

今回の配信では、約束を破った相手は「子ども」
まずは、大人と子どもの脳や心の発達段階が違うことを理解することが必要です。

子どもはどこまで約束を守る力があるの?

では子どもの「約束を守る」という行動は、脳科学や発達心理学的にどのような捉え方をされているのか見てみましょう。

【脳科学】子どもの脳はまだ発達途中

子どもの前頭前野意思決定や自己制御を司る部分)はまだ完全には発達していません。

この部分が成長するのは思春期後半から大人にかけてなので、それまでは「目の前の欲求」に強く引っ張られやすいんです。

約束を守れなかったからといって、必ずしも「意図的に」破ったわけではない可能性があります。

例えば「お菓子を我慢しよう」と決めていても、目の前にお菓子があったら我慢できないのは、まだ自己制御のスキルが未熟だからです。

一度起こった欲求を脳で処理できず、機嫌が悪くなり、パニックに陥ることも。

【発達心理学的】子どもは経験を通して学ぶ

発達心理学では、子どもは失敗を繰り返しながら、社会的なルールや自己管理能力を身につけていくとされています。

約束を破ることも、その学びのプロセスの一部と考えることができます。このため、まずは「責める」よりも「なぜ守れなかったのか」を一緒に考える姿勢が大切です。

\ point /子どもは「約束の概念」について、いままでどんな研究がされてきたの?

子どもがいつから心的な活動(「思う」、「考える」等)を理解するのかということは、古くから研究されています。

たとえば、
■4、5歳児は意図して行った活動とそうでない活動を区別できることはできる(hultz/1980)
たとえば、膝を上げようと思って上げたことと、誰かが脚気の検査の時のように軽く叩いて膝が上がったことでは、前者だけが目的をもって行ったことであるとして区別できる。
⇒偶発的にやったものと、わざとやったものの違いがわかる
➡約束を破らざると得なかった、わざと破ったことの違いがわかる

就学前児は、勝負ははじめから決まっていないとわかっている(hultz/1980)
あるゲー ムに負けても、それは勝つことを意図して行った行為であって、始めから負けることを意図した行為ではないということはわかる。
⇒最初から勝負が決まっているとは思っていない
➡負けた後に悔しさのあまり約束を破ったり言い訳をしてしまう

■6歳児は相手がアクシデントに見舞われたと言う理由で約束が遂行されなくても、大人同様にあまり怒らない傾向がみられる(鈴木 敦子/1992)
お友達の家に遊びに行くという約束が果たされなかった理由として、「意図的(行きたくなかった) 」、「不注意(忘れた)」、「アクシデント(腹痛)」を設定し、どの理由が一番仕方ないと思えるか調べたところ、「アクシデント(腹痛)」が選ばれた。これは5歳児よりも著しい結果となった。

■9歳児は約束の概念を正確に獲得していない(Olson)
9歳に”I promise to come but I don’tintend to.”(私は行くって約束しますが、でも行けるかはわかりません)という文章を見せても、この文章がおかしいことがわからない。理由は「来るって約束することはできるけど、もし時間がなかったら守れないから。」
➡「約束」は必ずしも叶うものでないと思っている

以上の研究結果を見ると、子どもにとっての「約束」の概念はとても浅く、大人程深い意味を持たない曖昧なものであることがわかります。なので、彼らの脳の発達は未成熟ということを念頭にいれて、共に育てていく必要があります。

子どもに約束を破られた時の2つの対処法

子どもにとって約束の概念が浅いことはご理解いただけたと思います。

では、もしも約束を破られた時は、どう対処すればよいでしょうか。

① 冷静に話をする

約束を破られて怒りや失望した気持ちを伝える前に、まずは落ち着いて子どもと向き合いましょう。「なぜ約束を守れなかったの?」と問いかけ、子どもの考えを聞くことが重要です。
感情的になると、子どもも防御的になってしまい、嘘をついてしまうことも。問題を建設的に話し合うためにも冷静になりましょう。

★あまりにも感情的になったら、一度外に出たり、ひとりの空間でしばらく過ごすことをおすすめします。アンガーマネジメント大事!

② 具体的なフィードバックを与える

「約束を破った」と言うだけではなく、どこがうまくいかなかったのかを具体的に伝えましょう。

例えば「宿題をやる約束だったけど、テレビを見始めたね。何があったの?」と具体的に状況を振り返ると、子どもも自分の行動を振り返りやすくなります。もしも肯定できるところがあれば、必ず伝えてあげると、子どもの自尊心に+の影響を与えます。

子どもと約束する時の6つのポイント

そもそも子どもと約束をする際には、どんなポイントがあるのでしょうか。

保育園でもよく行った、6つのポイントを紹介していきます!

① 具体的でわかりやすい約束にする

子どもは抽象的な言葉やあいまいな指示に対して理解が難しいことがあります。約束は、具体的でわかりやすく伝えることが大切です。

例えば「良い子にする」ではなく、「おもちゃで遊んだら片付ける」など、具体的な行動を明確にします。

\point/ルールや約束は一緒に作る

子どもと一緒にルールを作ると、そのルールに対して責任感を持ちやすくなります。

例えば、ゲームをする時間やお菓子を食べる量などを一緒に話し合って決めると、子どもも自分の意思で守ろうという気持ちが育ちます。
子どもってなんでもゲーム化してしまうとモチベーションが上がりますよね。大人以上にルールや約束に厳しくなるかもしれません。

② 年齢に合わせた期待を持つ

子どもの年齢や発達段階に応じて、守れる範囲の約束を設定しましょう。

あまりにも難しい約束や長期的なものは、子どもにとって負担になるため、守れなかったときに自信を失うこともあります。達成可能な約束を心がけ、成功体験を積ませることが大切です。

例えば、

幼児…長い針が6に行くまでに玩具を片付ける、帰ったら手を洗うなど
小学生…何時までに家に帰る、毎日1P勉強をするなど

③ 時計やイラストを活用して視覚化する

特に幼児や小学生低学年においては、時間の感覚がまだ発達していないことが多いです。

「後で」や「明日」ではなく、「夕飯の前までに」とか「この時計が○時になったら」など、明確な時間設定をすると理解しやすく、約束が守りやすくなります。

\ point① /時間について教えるなら、これ!おすすめの時計

ベビーシッターをすると、とても多くの家庭で見たこちらの商品。
数字の色がそれぞれ異なるため、時計の仕掛けが、なんともわかりやすい!また、短針・長針がそれぞれ何分、何時ときちんと書いてあるのも特徴の1つ。3歳の子も読めていました!

\ point② / 視覚的なサポートを使う

幼児から小学校低学年くらいのお子さんには、絵やスケジュール表を使って約束を視覚的に見せることが効果的です。

例えば、「おもちゃを片付ける」「歯を磨く」といった日常の約束を絵に描いておくことで、子どもが何をすべきかを視覚で確認でき、約束が守りやすくなります。

④ 理由をしっかり説明する

なぜその約束が必要なのかを説明することは、脳の情報処理において、とても重要です。

子どもは単に「これをしなさい」と言われるだけでは納得しないことが多いです。
理由を説明し、「それが良いこと」や「みんなにとって大切なこと」であることを教えましょう。

例えば、「おもちゃを片付けると、次に探すときにすぐ見つけられるよ」など、理由を理解させると効果的です。

⑤ 約束を果たしたら、ポジティブなフィードバックをする

自己制御力や約束を守る力を養うには、無理のない範囲で小さな約束を設定し、それを達成する喜びを経験させることが大切です。発達心理学では、ポジティブで細やかなフィードバックをすると、子どもの行動を良い方向に導く効果があるとされています。

例えば「今日の宿題を終わらせたら一緒にゲームしよう」というような、達成しやすい目標を立てて、約束を守ったときには、具体的に何が良かったかを伝えてあげ「約束を守れたね、偉い!」と褒めましょう。

この肯定的なフィードバックは、子どもの頭の中でその場面を再現できるようになります。
すると、その喜びがタンパク質の合成を始動させ、この行動に関わった神経を覆うミエリンを強化し、約束を守れた時のことを思い出しやすくします。

⑥ 親も約束を守る【重要】

子どもは大人をよく観察しています。親自身が約束を守る姿を見せることで、子どもに「約束を守ることの大切さ」を自然に教えることができます。

子どもにとって、大人は正しい行動をとる見本のような存在です。
特に生まれた時から信頼を置いてる親ですから、影響力は大きい。

例えば、親が「後で遊ぶね」と約束したら、必ず実行しましょう。
もしも破ってしまうと、子どもからの信頼関係に傷がつき、「あ、約束は果たされなくてもいいんんだ」と思うようになります。

★ここ、いち保育士として、必ず叶えて欲しいと強く思う所です。
子どもは大人の行動をよく見てます。どんな些細な約束でも果たすように取り組むことで、親子間の信頼関係は築かれていきます。小学生くらいになると自分の思ったことも口にしなくなります。きっと忘れてるからいいや、と思うのでなく、些細なことでも親が約束を守ると、子どもは「自分を見てくれてる」という喜びに繋がります。

まとめ

子どもと約束をするときは、具体的でわかりやすい内容にし、年齢や発達に応じた期待を持つことが重要です。また、親も自分の約束を守ることで、子どもにとって良い手本となり、信頼関係を築くことができます。約束が守れたときは細かくフィードバックして、しっかり褒めることを忘れずに、守れなかった場合も冷静に対応し、次に向けて学びの機会を与えることが大切です。

もしも子どもが約束を守れなかったとしても、それは成長の一部。

怒るよりも、なぜ守れなかったのかを一緒に考え、学びに変える姿勢を持つことで、子どもは少しずつ自己制御や責任感を身につけていきます。

え、この記事を綴った理由?

まさに子どもの帰宅予定時間が遅れてしまい、心配と苛立ちでいてもたってもいられなかったから。

感情をぶつける前に、まずは子どもの脳はまだ未発達ということを思い出し、冷静に相手の話を聞き、成長に繋げて行こうと思います。

子ども達の脳を育てていきましょ♪

参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/41/2/41_143/_pdf

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