読み手側も脳が変化する!?絵本の読み聞かせの効果とコツ

おすすめの育児のコツ
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絵本の読み聞かせ、していますか?
読み聞かせは、なんとなく育児に良いんだろうなぁ〜という感覚で取り組んでいる方が多いと思います。

が、
想像以上にメリット沢山あるから!!
しかも…
読み手側である親にもメリットあるから!!

忙しい保護者にとって、子どもとの時間は大変貴重。
どうせならメリットと各年齢に見られる特徴を学び、より効果的な読み聞かせをしてみませんか?

今回の配信では、現役保育士がおすすめの本も紹介します!

絵本を読み聞かせる6つのメリット

赤ちゃんや子どもに絵本を読み聞かせることは、言語や認知、感情、社会的スキルの発達に大きな影響を与えるだけでなく、脳の様々な領域をバランスよく発達させる効果があります。また、親子の絆や情緒的な安定ももたらすため、生物学的・脳科学的に非常に有益な活動であることがわかっています。

では詳しくみていきましょう!

メリット①┋発語、語彙獲得の促進

絵本の読み聞かせは、言語習得において欠かせません。

乳幼児期は、脳が急速に成長し、言語を学ぶための神経回路が形成される時期なので、絵本を通じて子どもは新しい単語や文法を学び、言語の音やリズムを認識する能力が高まります。

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京都府立大学大学院の雨越博士の研究によると、同じ絵本を3,4日計画的に読み聞かせすること+2回目以降は絵本の文中の一部に付箋を貼り、その部分の記銘と想起を促す実験を行った結果、語彙力が有意に向上するとともに、複数回読み聞かせをしている子どもについては、言語性短期記憶が向上し、言語性ワーキングメモリ能力が向上する可能性があることが明らかになったとのこと。

効果、あります!

メリット②┋想像力と創造力の向上

絵本は、視覚的な刺激に加えて、抽象的な思考を育むための土台を作ります。

物語を聞きながら、子どもは脳の前頭前野(創造的思考や計画を司る部位)を活性化させ、まだ見たことのない状況やキャラクターを頭の中でイメージします。

これは、将来的な問題解決能力やクリエイティブな発想を育むことに役立ちます。

メリット③┋親子の絆の強化

読み聞かせをしている時、視線を合わせたり、保護者の声の抑揚やリズムを感じたりと、密接なコミュニケーションが行われます。また膝に乗せて読んであげると、保護者の肌のぬくもりに包まれて、子どもは幸福感に満たされます。

このような親子の触れ合いは、オキシトシンという「愛情ホルモン」の分泌を促進し、親子の絆を強化します。オキシトシンは、社会的な絆を深め、ストレスを軽減する効果があり、情緒的な安定をもたらすことが知られています。

メリット④┋脳の発達を最適化する

絵本の読み聞かせは、視覚・聴覚・言語を同時に刺激するため、脳全体の統合的な発達を促進します。特に視覚と聴覚が統合される脳の領域(側頭葉など)が活性化され、情報処理能力が向上します。また、物語を理解する際に使われる「ワーキングメモリ」や「注意力」の向上が観測されています。これにより記憶力が上がり、学力が向上します。

メリット⑤┋社会的スキルの向上

物語を通じて他者の感情や行動を理解する能力が発達します。

絵本では、キャラクターの感情や行動を理解するプロセスがあり、これが共感能力や社会的な振る舞いを学ぶ助けになります。これも前頭前野を中心とした脳の領域の発達に関与します。

メリット⑥┋ストレスの軽減と情緒の安定

読み聞かせはリラックスした状態で行われることが多く、子どもが安心感を得ることができます。
例えば、寝る前の布団の中で、とか、お膝の上で、とかですね。

リラックスした状態で絵本を読んでもらうと、副交感神経が優位に働き、コルチゾールというストレスホルモンのレベルが下がることが確認されています。情緒的に安定した状態で育つことで、子どもは自己肯定感や社会的な安定感を育むことができます。

【年齢別】読み聞かせる時のコツ

メリットについておわかりいただけたと思うので、さらにそのメリットを促進する方法をお伝えします!
それはつまり、「子どもの成長に合わせて工夫すること」
子どもの今の成長過程を理解することで、どんな働き掛けができるかわかり、言葉や想像力の発達を促すことができます。

併せて、年齢別に得られる効果が向上するであろう、おすすめの絵本を紹介していきますね。
おすすめの絵本は、今まで保育園、ベビーシッター、育児を通した経験から、総合的に子どもに人気だった本を取り上げています。沢山ありすぎで書ききれませんが、特に人気だったものを挙げさせていただきました。

乳児期(0〜1歳)

この時期の赤ちゃんは、まだ言葉を理解していませんが、音やリズム、絵の色彩に興味を持ち始めます。

視覚的にシンプルな絵本を選ぶ
はっきりとした色合いのシンプルな絵が描かれている絵本を選ぶと、赤ちゃんが絵をしっかり見つめやすくなります。特に見やすい色は、白・黒・赤・青から始まり、徐々に様々な色を認識できるようになります。

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乳児で認識できる色
・新生児期~生後1か月 …黒・白・グレーの濃淡がぼんやり認識できる
・生後2か月~3か月 …赤、黄、緑、青など
・生後4か月~生後6か月…オレンジ、紫など

優しい声でゆっくり読む
赤ちゃんはお母さんやお父さんの声に安心感を覚えます。ゆっくりとリズミカルに、優しい声で語りかけるように読み聞かせましょう。

\point/
胎教として読み聞かせていた絵本を、赤ちゃんは覚えてる?!産後30分の泣いている赤ちゃんに、お腹にいた時読み聞かせていた絵本を読むと、脈拍や血圧が落ち着き、泣き止んだという研究結果があります。特にママの声は聞き慣れていますので、より落ち着ける効果があります。
赤ちゃんは高い声の方が認識しやすいので、パパも高めの声で読み聞かせてあげましょう。

言葉のリズムや音を楽しむ
短いフレーズや繰り返しの多い文章が含まれた絵本だと、赤ちゃんは同じ言葉を何度も頭に入れることになるので、語彙力や表現力が身につき、より絵本を楽しめるようになります。言葉の響きや音を楽しむように、リズム感を大切に読んであげましょう。

身体を使って反応を引き出す
絵本を読みながら、赤ちゃんの手を握ったり、笑いかけたりすることで、絵本の内容に対する反応を見ることができます。また、絵本に描かれている動きを真似すると、視覚、聴覚、触覚を通して言葉の認識が進みます。スキンシップにも繋がるので、大変おすすめ!

この時期におすすめの絵本

【しましまぐるぐる】

大人気の王道絵本!
8割を超える施設、6割以上のご家庭で支持されているのではないかという程、ド定番で赤ちゃんに大人気の絵本「しましまぐるぐる」
使用している色合いが、赤ちゃん認識しやすいんですよね。
持ってないお家には是非一冊ご家庭に置いて欲しい。

【きゅっ きゅっ きゅっ】
ねずみさんやうさぎさんの食べこぼしを、あかちゃんがタオルで「きゅっきゅっきゅっ」と、拭いてあげます。リズムかるな内容に、可愛いイラスト。実際に拭いてあげる仕草をしてあげると、体の部位の認知を高めます。

【だるまさんシリーズ】
こちらも大人気なシリーズ。呼びかけるような言葉のリズムも声に出してみれば独特な「間」をつくってくれて、0歳の赤ちゃんから大人まで笑ってしまう本。作者のかがくいひろしさんが絵本を作る時にこだわっていたのが「もの」「音」「うごき」「見立て」なのだそう。

保育園時代、0歳児ちゃん相手に一番読んでいました。だるまさんと同じ動きを実際にしながら読むと、子ども達も真似して、毎度ケタケタ笑っていました。

幼児期前半(1〜3歳)

この時期の子どもは、言葉や物語に少しずつ興味を持ち始め、自分でページをめくることや、絵を指さすことを楽しむようになります。「これは?」と頻繁に聞いてくる事がありますが、根気よく答えてあげると、語彙力向上だけでなく、愛着形成にも繋がります。

簡単な物語や日常に関連した内容
短いストーリーや、動物、乗り物、身近な生活を描いた絵本がおすすめです。簡単な言葉の繰り返しがあると、子どもも次に何が起こるのか予測でき、楽しみが増します。

ジェスチャーや表情を使う
声のトーンを変えたり、表情豊かに読むことで、物語の世界をより身近に感じさせます。動物の声を真似たり、登場人物の気持ちを表現したりすると、子どもが引き込まれます。

子どもの反応を大切にする
子どもが興味を示した絵や場面に繰り返し触れることで、関心を深めることができます。「これ、何だと思う?」と質問したり、一緒に絵本に触れながら読むのも良いです。

\point/
この時期から自我が芽生えることで、我が子がなにに興味があるかわかるようになります。好奇心や知識欲を高めてあげるために、例え同じ本でも、「これは?」と何度も同じものを指さしても答えてあげると、子ども自身気持ちが満たされて、より一層自分が好きな物を追求できるようになります。

この時期におすすめの絵本

【ころりん・ぱ!】⇒指先の運動に

目の前に動かせそうな丸があれば、子どもも大人も構わず動かしたくなりますよね?
可愛いくりくり目玉のついたわっかの「ころりん」は、小さな指を入れれば自らもころころ回りながら溝のついた道を楽しそうに動きます。

あかちゃんが喜ぶ色(視覚)、くるくるまわる手触り(触覚)、楽しい擬音語(聴覚)に加えて、指を動かすことで脳に刺激も与えるてくれます。

癖になるから、是非!

【おつきさまこんばんは】⇒挨拶が身につく

毎晩空に浮かぶお月様に、赤ちゃんたちも興味津々。この絵本はお月様のことを知るきっかけになるかも。お月様の表情も然り、ストーリーに少しドキドキ感があるので、子どもの情緒を豊かにしてくれる一冊。「こんばんは」「こんばんは」って互いにごあいさつする幸せも感じることができます。
1986年発売以来のベストセラー。

【もこ もこもこ】⇒想像力が育まれる

こちらも初版1977年という大ベストセラー。
何だか分からないけど地面から出てきた「もこ」と「にょき」が織りなす絵本で、出てくる言葉は「もこ」「にょき」「ぽろり」と奇妙な擬音ばかり。ハテナマークが浮かぶけど、何度も読むことで、面白さがこみあげてきます。笑うんです、「ぱくっ」だとか「もこ もこもこ」だとかで。
まだ読んでない方は是非お試しください。

【おんなじ おんなじ】⇒社会性が身につく

これは子どもの社会性や語彙力向上に繋がったと思う一冊。この時期の子どもって、自分と同じ物を持っている子を見ると、「あ!自分のだ!」と勘違いしがち。その時にこの一冊があれば、あ、同じ物を持っていることもあるんだ、と理解してくれ、「おんなじだね!」とその場を和やかにしてくれました。自分だけじゃなくて、一緒に遊ぶお友だちのことも気になってくる年頃に、ぴったりな絵本。

【おやすみ、はたらくくるまたち】⇒入眠に有効

乗り物大好きな子ども達の寝かしつけに、これは推したい一冊。

「はたらくくるま」が日中パワフルに働くき、夜になるとエンジンを止めて静かに眠りにつく様子が描かれています。力強さと愛嬌を併せ持ち、その上「おやすみ」へと誘ってくれる絵本。ニューヨークタイムズ ベストセラーリスト第1位を取るほど、世界的にも大人気な一冊です。

幼児期後半(3〜5歳)

言葉の理解が進み、物語のストーリーを追うことや、登場人物の気持ちに共感することができるようになってきます。早い子は文字が読めるので一人でスラスラ読んじゃうし、自分の興味のある電車や恐竜の名前など、大人顔負けなレベルで記憶していく子も。

少し長めの物語
ストーリーが少し長めでも、場面展開がある絵本や冒険物語など、内容のある物語を楽しめるようになります。複雑な感情を描いた物語にも共感を覚えるようになるので、登場人物の心情を大切に伝えましょう。

質問や対話を交えながら読む
物語の途中で「次はどうなると思う?」といった質問を投げかけることで、子どもの想像力を刺激します。また、読み終わった後に感想を聞いたり、物語について話し合う時間を持つと、子どもの理解力が深まります。文章の読解力にも繋がりますね。

この時期におすすめの絵本

【そらまめくんのベッド】⇒社会性が身につく

優しい色使いと友達について学べる、そらまめくんシリーズの第一作目。そらまめくんの宝物であるベッドを巡ったお話です。読み終わったあと、優しい気持ちになること間違いないです。

【たまごにいちゃん】⇒年長者としての立ち位置を学べる

成長する子どもの心の揺れをユーモアたっぷりに描いたお話です。大好きなんですよね、たまごにいちゃん。まだまだ子どもでいたいけど、お兄ちゃんになったからな、ちょっと頑張ってみようかな、と、絵本を通して成長できます。

【きょだいな きょだいな】⇒想像力がUP

巨大な○○が現れたら、どんな遊び方をするか。想像力が鍛えられます。たくさん子供が出てくるのですが、絵が細部までこだわっているので、一緒に気になるものを見つける遊びもできます。

私は、唯一出てくるキツネくんが好きです。

【パンダ銭湯】⇒洞察力が向上

大人気ですよね、パンダ銭湯!おそらく多くの方が一度は想像したことあるだろう、パンダの入浴。ユーモア溢れるイラストも合わさって、面白さが倍増。男女共に人気です。

【おまえ うまそうだな】⇒父性について学べる

泣きますね。

読む度に泣いちゃいます。よくある展開ではあるんですが、純粋無垢な登場人物のやり取りに胸を掴まれます。シリーズ化していますが、どの話も泣ける。愛についても学べるので、一冊はお家に置いて欲しい。

全体的なポイント

  • 時間帯や環境を工夫する: 子どもがリラックスして集中できる時間帯を選びましょう。お昼寝の前や寝る前は、特にリラックスしている時間です。
  • 読むことを楽しむ姿を見せる: 読み聞かせを楽しんでいる姿を子どもに見せることで、自然と本への興味が湧いてきます。声のトーンを変えたり、子どもの反応を引き出す工夫をして一緒に楽しみましょう。
  • 起きている時はお膝に座らせてあげるなど、スキンシップを図る:大好きな保護者に体全体を包まれながら絵本を読んでもらうと、子どもは幸せな気持ちになり、オキシトシンが分泌されます。集中力が上がり、語彙力も伸びます。

成長段階に合わせて、読み方や選ぶ絵本を工夫することで、子どもの興味や理解を深めることができます。

実は読み手も脳が活性化している?親側の変化が見られる2つの実験

読み聞かせ中、読み手と聞き手の脳に変化あり!

日本大学大学院の泰羅雅登教授らにより、読み聞かせ中の脳の働きを調べる実験が行われました。
その結果、読み手であるママの脳では前頭前野が活発に働き、聞き手である子どもの脳では大脳辺縁系が活発に働いていることがわかりました。

親側に変化のあった前頭前野は、思考や創造力、コミュニケーション、感情のコントロールといった機能を司ります。
前頭葉が働くことで、親は冷静な判断ができるようになったり、長期的な視点から育児を計画できるようになります。さらには自制心も発揮するので、子どもに対して怒鳴ったり、過度に厳しくしたりすることを避けることができます。

子ども側に変化があった大脳辺縁系は、意思決定、社会的行動、感情の調整、そして注意や計画の立て方に関与します。衝動的に動くことを抑制したり、問題解決能力の向上、意思決定能力の発展など、子どもの成長において極めて重要な役割を果たします。

読み聞かせにより、母親のストレスが減少した!

東北大学・川島隆太教授らの脳科学研究グループと山形県長井市との共同研究によると、読み聞かせをすることで、読み手である母親のストレスが減少したということがわかりました。

約40組の幼児とその家族を対象に、8週間にわたる読み聞かせ調査をしたところ、全般的に母親の子育てストレスは低下していることがわかりました。

『「本の読み方」で学力は決まる』を参考に作成)

おそらく、読み聞かせにより親子の時間やスキンシップに繋がり、子ども自身、精神的に安定し、親子の関係性が良好になったのでは、と考えられます。

たった数分の読み聞かせなのに、すごい!

まとめ

いかがでしたか?
絵本の読み聞かせの知られざる効果をお伝え出来たと思います。
個人的に驚いたのは、読み手である親の方にも良い影響が出ること。
自分にもメリットがあるなら、すすんで取り組みたくなりますよね!

絵本を読むのは、子どもの集中力から考えてもたった数分です。
この数分を「入眠前の読み聞かせ」などと習慣化すれば、無理なく毎日続けることができます。

親としても子どもとしてもかけがえのない時間になるはずなので、是非取り組んでみてください。

我が家も小学校にあがり、しばらくしてなかったので、今夜久しぶりに取り組んでみようかな!

参考文献:https://yab.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20191017.php
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sor/56/2/56_89/_pdf/-char/ja
https://kpu.repo.nii.ac.jp/record/6300/files/2021_S18_Amagoshi.pdf

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