病棟保育士が教える!子どもの入院が決まった時の対処法

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子どもの入院が決まった時、親としては心配で居たたまれなくなりますよね。

一人で大丈夫かな?寂しさと痛みで不安だろうな。

など想像するだけで悲しくなると思います。

しかし時間は待ってくれません。子どもは入院しなければならない状況なので、より早く現実を受け止め、親としてできること、つまり入院中の対処法を把握して、お子様の不安を軽減できるようにしましょう。

対処法は子どもの成長段階や発達状況により異なるので、個人に合わせた配慮が必要です。また、病院によっては病棟保育士が配属されています。どの程度までサポートしてくれるかも把握しておきたいですよね。

ここでは、子どもの入院に関して親が抑えておくべきポイントと、持ち物、さらに病棟保育士がどのような活動をしてくれるかについてご紹介します。

入院の種類について

一口に「入院」と言っても、子どもが入院する理由は多岐に渡ります。まず入院しなければいけない状況はどんな時なのか、客観的に見てみましょう。

1.病気や怪我の治療

  • 急性疾患: 高熱が続く感染症やウイルス性疾患など。生後3ヶ月までの赤ちゃんは、38度以上の発熱があれば、検査や治療のために入院をすすめられます。
  • 外傷: 骨折や重度のやけどなどの外傷。
  • 慢性疾患の急性悪化: 喘息の発作や糖尿病の管理が難しくなった場合など。

2. 手術

  • 緊急手術: 盲腸炎や骨折の整復など。
  • 予定手術: 扁桃摘出や心臓の先天性異常の手術など。

3. 検査入院

  • 詳細な診断が必要な場合: 持続する原因不明の症状や病気の特定のために複数の検査を行う場合。
  • 特定の検査が必要な場合: 脳波検査や内視鏡検査などの専門的な検査。

4. 短期入院

  • 観察が必要な場合: 急性疾患や手術後の経過観察など。
  • 治療や処置が必要な場合: 点滴治療や抗生物質の投与などが必要な場合。

5. 精神的・行動的問題

  • 精神的な問題の評価や治療: うつ病や行動障害の評価と治療のための入院。
  • 発達障害の評価: 自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)の診断のための観察。

6. その他の理由

  • 特別な医療設備が必要な場合: 自宅での治療が難しい場合や特殊な機器が必要な場合。
  • 家庭の事情: 一時的に家族の支援が受けられない場合や家族の問題での一時的な保護。

抑えておきたい親の配慮事項

では実際に入院が決まった場合、親としてなにができるか、なにをすべきか対処法をお伝えします。

基本的に病院では医者や看護師、病棟保育士などの医療チームが一丸となってお子様のケアを行いますが、子どもにとって親に替わる存在はいません。親の存在が一番の精神安定剤ということだけは最初に言わせてください。

では実際に親としてなにができるか。
乳児期、幼児期、学童期と成長段階にわけて配慮事項をお伝えしていきます。

乳児の子どもが入院する際のポイント(0~1歳)

赤ちゃんが泣く理由の多くは、三大欲求:睡眠欲、食欲、性欲(排泄)が満たされていない時。病院では基本的に授乳時間や量が管理されていたり、寝ている時に突然診察が入ることがあるので、家と違ってなかなか欲求が満たされにくい状況時です。

また、乳児は個人差や月齢による違いがありますが、不安な気持ちから泣いてしまうお子様も多いです。

そんなストレスの多い環境の中、親としてなにをしてあげると良いかご紹介します。

■付き添い入院をする

可能であれば、付き添い入院が望ましいです。乳児は親の存在を強く意識しており、安心感を提供することで、ストレスを最小限に抑えることができます。
ただ入院中は日頃の身の回りのお世話に加えて、「吸引・吸入」、「バイタル確認」、「心電図モニターの取り付け」、「胃管交換」など、医療的ケアを含む場合もあります。
 また、付き添い入院をする親へ食事が提供される病院はごく一部で、親が十分に健康を気遣った食事が摂れず、また付き添い用のベッドは有料レンタルであったり、入浴は備え付けのシャワーであったりと、付き添う親が心身ともに休まる時間はほとんどないことが問題視されていますので、付き添い時には自分のストレス対策になるものを持ち込んだり、適度に外出をして気分転換しましょう。

■母乳の提供

母乳は乳児にとって最適な栄養源であるだけでなく、情緒面の安定にも繋がります。入院中も継続できる場合には、母乳育児を心がけましょう。病院や病棟によっては、母乳育児のサポート体制や設備が整っているところもあります。

★ひとくちメモ:母乳がもたらす効果

  1. 栄養供給: 母乳は新生児にとって理想的な栄養源であり、適切なバランスのたんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルを提供します。これにより、子どもの健康的な成長と発育が促進されます。
  2. 免疫システムの強化: 母乳には免疫グロブリンや抗体が含まれており、これらが子どもの免疫システムを強化し、感染症や病気から保護します。例えば、風邪や胃腸炎などの感染症にかかりにくくなることが知られています。
  3. 消化の改善: 母乳は赤ちゃんにとって消化しやすく、便秘や消化不良のリスクを軽減します。母乳に含まれる酵素やオリゴ糖は腸内の健康な細菌の成長を促進し、消化器系の健康を維持します。
  4. アレルギーと慢性疾患の予防: 母乳を飲んで育った子どもは、将来的にアレルギーや喘息、肥満、糖尿病などの慢性疾患にかかるリスクが低いとされています。これは、母乳に含まれる特定の成分が免疫システムを適切に発達させるためです。
  5. 知能発達のサポート: 母乳にはDHA(ドコサヘキサエン酸)などの必須脂肪酸が含まれており、これらが脳の発達を支援します。研究によれば、母乳で育った子どもは知能指数(IQ)が高くなる傾向があると報告されています。
  6. 情緒的な絆の強化: 授乳を通じて母親と子どもの間に強い情緒的な絆が形成されます。これは子どもの心理的な安定や感情の発達に寄与します。

■おもちゃなど、子どもが安心できる物を持参する

乳児は新しい環境に敏感です。普段自宅で使っているおもちゃやぬいぐるみがあれば、それが安心材料になります。お家の匂いがついているブランケットやママの匂いがついている上着なども嗅覚を通して落ち着かせることができるのでオススメです。病院によっては布製のものは感染症対策を兼ねて持ち込めないところもあるので、事前に確認しておきましょう。

※持ち込む際は紛失を防ぐために必ず記名しましょう。

光るものや音が出るものは子どもの興味を引きやすいので、新たに購入する際はオススメします。

持参するおもちゃについて考慮する点
・あまり大きくなく、ベッドの上で遊べるものか
・柵から出ないか
・感染対策に適しているか(布製のものがよければ、病院と相談する)
・記名がしてあるか

入院時におすすめの玩具

トイローヤル へんしんジム&知育ボード

【対象年齢】2ヶ月~
【概要】にぎる&振る、つかむ&たたく、つまむ&引く、などの簡単な指先運動で脳を刺激して楽しく遊べます。入院生活は基本的に寝ているので、まだ十分に首が発達していない乳児には、天井に向けてなにか用意してあげたいですよね。そこに面白そうなおんちゃがあると、動きたい欲(ドーパミン)が働いて気分転換ができ、運動にも繋がります。

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アガツマ(AGATSUMA) アンパンマン おでかけスイッチミニアガツマ(AGATSUMA) アンパンマン おでかけスイッチミニ

【対象年齢】10ヶ月~
【概要】根強い人気を誇るアンパンマン!長い紐を用意して、こちらの商品と柵に付ければ落ちる心配を防げます。サイズも子どもが持てる大きさですので、手軽に遊ぶことができます。
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トイローヤル まわしてクルクルサウンド ビビットカラー

【対象年齢】10ヶ月~
【概要】
働いている病院にもあるのですが、ぴかぴか光ったり、コミカルな音が鳴るので、子ども達にとても人気のある玩具です。治療により両手が拘束されていても、お座りができなくても遊べるので重宝しています。
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タカラトミー(TAKARA TOMY) 『 プラレール ぷっしゅでゴー! かんたんはじめてプラレール カラフルとっきゅうセット 』 

【対象年齢】一歳半~
【概要】電車好きにはたまらない!ベッドの上でも遊ぶことができるプラレールです。線路はシートにくっついているのでバラバラになる心配はなく、片付けも手早くできます。
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ピープル ピタゴラス(R) 知育いっぱい!ボールコースター

【対象年齢】一歳半~
【概要】[脳を刺激、ひらめく頭に、ピタゴラス(R)] 平面から立体へ。算数・数学の先生の発明した空間認識力を育てる知育玩具です。磁石でくっつくのでバラバラになる心配はありません。ボールが転がる様子を楽しく見る事ができます。
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幼児の子どもが入院する際のポイント(1~6歳)

つづいて幼児が入院した際のポイントについてお伝えします。
■事前に入院や処置について説明する
■キッズルームを利用する
■家と同じ生活リズムを心掛ける


言葉が理解できるようになると、幼児は何が起こっているのかをある程度理解し、記憶することができます。この後なにが待っているのか、おおまかな先の予測もできるので、入院の理由や処置の内容について事前に伝えておくと心の準備が図れます。

■事前に入院や処置について説明する

子どもにも理解できるよう丁寧に何が起こっているのかを説明することが大切です。入院がなぜ必要なのか、どんな治療を受けるのかについて話しましょう。

★ひとくちメモ:おすすめの説明(プレパレーション)の仕方

病院ではプレパレーションという子どもが処置を受ける際に発達段階に合わせた説明を行う場所が多いです。恐怖心や不安を最小限にすることで子どもの頑張る力を引き出すことが目的です。

プレパレーションは病院によっては対象年齢が定められています。保育士目線で言うと子どもの精神的負担を軽減するために遅くても1歳半から行うべきだと思っています。

病院での対象年齢でない場合は、ご家庭でプレパレーションで使用する物を作成し、実施することをオススメします。

★簡単にできるおすすめのプレパレーション:絵本を作る

実施治療方法や医療器具は専門的な用語が多く、日常的に使われません。そのため、言葉だけでなくイラストにして伝えてあげると頭の中でイメージがしやすくなります。

中庄 絵本 ホワイトブック 正方タイプ20
Amazonでは白紙のホワイトブックが売られているので、これを使って絵本を作ることをオススメします。使い慣れた大きさの本で、ママやパパが描いてくれた絵本。お子様にとってとても強いお守りにもなります。

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描く内容としては、以下を参考にしてもらえたらと思います。

・病院で行われる処置(注射や点滴、麻酔など)
・どのような感覚か
(アルコールで拭くとスース―する、刺すときチクっとするなど)
・使用する器具
(呼吸器やカテーテルなど)
・ どのように処置を受けるのか
(横たわるか、お母さんに抱っこしてもらうのかなど)
・そして、子どもにしてほしいこと
(泣いてもいいけど、このときは手を動かさないでね、など)

また、入院中は聞き慣れない音が病室に響くので、「これは『点滴が終わったよ』っていう合図の音だね。」など、音の解説をしてあげると不安な気持ちを和らげることができます。

■キッズルームを利用する

多くの病院では子どもたちのためのキッズルーム(プレイルーム)を設けています。遊びながら他の子どもたちと交流でき、ストレス解消にも繋がりますが、子どもの症状によっては利用できない場合もありますので、事前に可能かどうか看護師に確認してみましょう。

<利用出来ない一例>
・感染症を患っている
・移動が困難
・マスクをつけられない(感染症対策を兼ねて、マスクの使用が原則義務付けられている病院が多いです。)

■家と同じ生活リズムを心掛ける

病院では一日の流れが制限されていますが、起床時間や入眠時間はおおむね家庭と同じように過ごすことができます。(場合によっては午睡中に診察が入る場合もありますが)
入院生活でも、可能な限り家庭と同じ生活リズムにすることで、子どもの体や精神面に負荷を掛けず過ごすことができます。もちろん興奮してなかなか寝付けないという日もあると思いますが、そんな時はお子さんの気持ちを優先してあげてください。

★ひとくちメモ:子どもが面会中大泣きしてしまう場合

面会すると子どもがストレスと寂しさのあまり泣いてしまう場合があります。こんなに辛い思いをさせてしまっている…と切なくなると思いますが、このように感情を爆発させることはとても大切です。つまり、安心できる環境(ママやパパ)の下だからこそ、ストレスのタンクを爆発させることができ、親がいない間の治療や一人の時間も乗り越えられるのです。実際感情を爆発させられる子の方が病院生活になれることも早く、爆発させられるからこそ、親がいない間は自分の感情をコントロールして治療と向き合える子が多いです。もちろん中には親と再会した時に泣かずに飄々としている子もいますが、心の奥底では必ず求めているはずなので、再会した時にはスキンシップを沢山取ってください。ママやパパの温かみを感じて、心が強くなれるんです。

学童期の子どもが入院する際のポイント(6~12歳)

続いて学童期のお子様についてです。学童期はおおむね口頭でも治療の内容や自分の体に起きてることをイメージできますが、小学生低学年くらいまではまだまだ知識量が浅いのでプレパレーションを実施した方がよいでしょう。入院中はタブレットや携帯を持ち込んで一人で時間を潰す子どもが多いですが、自分の本当の気持ちを外に吐きだす機会が減るので、心の不安な声に周囲が気が付きにくい傾向にあります。

■事前に入院や処置について説明する

・事前に病気や治療の説明(プレパレーション)を行う
幼児の欄を参考にご覧ください。絵本でなくても説明しながら図を描くだけでも効果はあると思います。

・質問に対して正直に答える
この時期は自分自身のことは自分でも把握しておきたい年頃です。気になった情報は携帯やタブレットで調べられますが、間違った解釈をする可能性があるので、もしも疑問を投げかけられたらしっかり共有することが必要になります。伝える方法だったり、どの範囲まで伝えるべきか、悩んだ場合は医療スタッフと相談し連携を図っていくと良いでしょう。

■学習の継続

・学校の勉強ができるように学習道具を持ち込む
病院内では教科書や学校から貸し出ししているタブレットを持ち込むことが可能です。Wi-Fi環境になる病院ならタブレットを使用してオンライン授業を受けることも可能となります。

・病院内での学習支援を受ける
病院によっては市区町村の小学校と連携して院内学級を設けている場所もあります。
長期入院の場合は一時的に連携している小学校に転校することで学校の単位を取得することが可能です。院内学級には連携している小学校から教師が配属されているので、学校と同じように教科を進めることができます。(座学に限る)ただし心のケアが大前提にあるので、座学だけでなく工作をしたり、読書の時間にしたり自分で授業の内容を決めることができます。

■自立心の尊重

・自分でできることは自分でさせる。
入院中、症状や処置によって今までできたことが出来なくなることもあります。そうすると自尊心が削られてしまい、気持ちが沈みがちになります。ですので、可能な範囲で自分自身でさせることが大切になります。入院してから数日は甘えさせてあげてもいいかもしれませんが、医療スタッフと相談をしながら徐々に元の生活に戻れるよう自立心がつくよう促しましょう。

病棟保育士はなにをしてくれるの?

病棟保育士は病棟の小児科に配属されている保育士で、主に入院中の子どもたちが快適に過ごせるよう支援します。おむつ交換や食事の介助、入眠のサポートなど、日常的なケアはもちろんですが、子どもの専門家だからこそできる心のケアも行います。成長段階や心理状態に配慮しながら子ども達に寄り添うことが可能です。

■対話や遊びを提供
医療に特化した医者や看護師とは異なり、病棟保育士は子どもの専門家です。病室にきて子どもと話をしたり、遊びを通じて心理的なサポートを行います。また、子どもの心理状態を他の医療スタッフと共有する役割も担いますので、代弁者でもあります。子ども自身が病気と向き合う力を育てる手助けをします。

■教育的な活動
読み聞かせや簡単な学習活動など、子どもの発達段階、症状や障がいに合わせた教育的なサポートも提供します。製作の道具なども多く揃えているので、今現状できる範囲で五感のうちの3つ(触覚・視覚・聴覚)を刺激して、気分転換や発達を促す活動も提供できます。

まとめ

子どもの入院は親にとっても大変不安で心配が尽きないと思います。当の本人(子ども)は尚のことですよね。しかし、親だからしてあげられることがあります。親の存在は偉大です。特に赤ちゃんにとっては、ママは体の一部です!(実際そうであったように)
ぜひ適切な対応で子どもの不安を軽減し、安心して治療に専念させできるようサポートしてあげてください。入院中の不安は遠慮なく医療スタッフに吐きだして相談してください。
親の存在が子どもにとって最大の安心材料です。前向きにサポートし、共に乗り越えていきましょう。

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