「ダメ」と伝えても繰り返しやってしまう我が子に悩んでいるママやパパは多いですよね。
先日X(Twitter)でも「幼児期の男の子が何度注意しても繰り返す」という件について話題になったように、実は男の子に多い特徴があります。
今日はなぜ子ども(特に男の子)は注意したことを繰り返しやってしまうのか、特性や脳科学を中心に解説してみたいと思います。
子どもが注意したことを繰り返す5つの理由
まず幼児期の特徴から紐解いていきましょう。
1. 好奇心旺盛だから
幼児期の子どもたちは、まだまだ知らない世界が多く、新鮮で興味深いものです。例えば外で石のようなものを見つけたら「これはどういうものなのか、触るとどのくらい重たいのか、感触は冷たいのか」など探求心が湧いています。特に男の子は好奇心が強く、新しいことを発見したいという欲求が強いです。何かを注意されると、その行動が「特別なもの」として認識され、さらに興味を持ってしまうことがあるのです。「ここには何か面白いことが隠れているに違いない!」という感じですね。
2. 理解のプロセスを学んでいるから
幼児はまだ言葉の理解力や記憶力が発展途中です。一度注意されただけでは、なぜそれがダメなのか、具体的な理由がしっかり理解できていないことが多いです。そのため、同じことを繰り返してしまうのです。繰り返すことで、少しずつ「これはダメなんだ」という認識が芽生えていきます。
例えば、おもちゃを投げるのが楽しくてやめられない子がいるとします。ママが「おもちゃは投げちゃダメよ」と言っても、次の日にはまた同じことをしてしまいます。子どもにとっては、「おもちゃを投げるとどうなるのか?」という疑問がまだ解決していないのです。
3. 親の反応を楽しんでいるから
幼児期の子どもたちは、親の反応を見るのが大好きです。注意されると、普段とは違うリアクションが返ってくるため、それが面白くて繰り返すことがあります。特に、普段は穏やかなママやパパが真剣に注意すると、それが特別な出来事として記憶に残りやすいのです。
例えば、お風呂場で水をバシャバシャと撒き散らす子がいます。注意すると一瞬止めますが、しばらくするとまたやり始めます。それは、「ママがびっくりした顔をするのが楽しい!」と感じているからかもしれません。
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4. 自分の限界を試しているから
幼児は自分の行動範囲やルールの限界を試そうとします。注意されることで、「どこまでが許されるのか」を探っているのです。これは成長過程で自然なことであり、自己主張や自立心の芽生えとも言えます。
例えば、「おやつはご飯の後に食べようね」と言われても食事の前におやつを取りに行くのは、「本当にダメなのか?」を確認するために行うのです。
5. 男性ホルモン(テストステロン)の影響
テストステロンは、男の子の行動に対して大胆さや挑戦心を促すホルモンです。このホルモンの影響で、リスクを冒すことや新しいことに挑戦することが好きになり、結果として注意された行動を繰り返すことがあるのです。
おすすめの2つの対処法
繰り返し注意されることをする幼児に対して、どのように対処すれば良いでしょうか?
ここにいくつかのヒントをご紹介します。
①効果的な注意の仕方
- 一貫性を持つ: ルールや注意の仕方は一貫性を持つことが大切です。親がそれぞれ違う反応をすると、子どもは混乱してしまいます。
- 良い行動の時は沢山褒める: ダメなことをする代わりに、良い行動をしたときにたくさん褒めてあげましょう。良い行動を強化することで、悪い行動が減ることがあります。
- 代わりの行動を提案する: 注意するだけでなく、代わりに何をすれば良いのかを教えてあげましょう。「それはダメだけど、これならいいよ」と具体的な指示を出すと理解しやすいです。
- 冷静さを保つ: 子どもが繰り返し注意される行動をしても、親が冷静でいることが大切です。感情的になると、子どもも不安定になってしまいます。
②注意をする内容の線引きをする
「この範囲は見守る、これ以上は注意する」と注意掛けをする内容の線引きをすると、親子ともどもメリットがあります。
【親のメリット】気持ちが楽になる
子どもは「怒られる」ことに慣れます。それがだんだん態度に表れてしまい、「親側の気持ちが届いていない!」とさらに怒りを助長させますよね。すると親はエスカレートして泣かせるまで怒ったり、躾(しつけ)という名目で恐怖を与える方法を取ってしまう可能性があります。
些細なことでも注意していると常にイライラしてしまうので、この程度なら許してもいいかな、と注意する内容の線引きを行うことで気持ちに余裕が生まれます。
\後始末は最後まで一緒に行おう!/
親が思わず注意しちゃう時って、体感ですが、8割は<後始末が面倒なもの>ではないでしょうか。
「これを片づけるのは誰だと思ってるの!?」と家事が増えることにストレスを感じますよね。それならば、後始末も一緒に行うのはいかがでしょう。
例えば…
・水たまりで遊んでしまった時→帰ってから一緒に洗って一緒に干す。
・机に落書きしてしまった時→どうやったらインクを落とせるか一緒に考え、その後しっかり一緒に拭く。
すると対策方法を学ぶことはもちろん、この行動にはリスクが伴う、など因果関係が自然とわかってくるはずです。
【子どものメリット】判断力やその他の力が身に付く
親に注意されることで見てもらえている安心感も抱くので、「なぜそれをやってはいけないのか」という直接的な解決に至らず繰り返します。なので、しょっちゅう注意をするよりも、メリハリをつけて注意をした方が子どもには届きやすいです。普段は見守ってくれるのに、この行動はダメなんだ。と判断力を覚えます。さらに「なぜダメなのか。」を具体的に伝えてあげると、危険予測能力や洞察力、他者を思いやれる心や想像力が育ちます。
例えば店で走り回ってしまった時、どちらの方が明瞭度が高く理解できるでしょうか。
A.「店の人に怒られるよ」
B.「商品が割れて○○君がケガをしてしまうかもしれないし、人にぶつかったら相手も転んでケガをしてしまうかもしれないよ。」
断然Bですよね。
Aはなんで怒られの?という疑問が生じますし、怒られるからやめるのは大人の都合ではないでしょうか。説明が面倒くさいと思う方も、この数年の我慢とこの先の十数年と比べたら、どちらを選びますか?今手間かけた方が楽な未来が待ってます。
3つの子どもを注意をする時の効果的な環境づくり
さらに子どもに注意の声掛けを効果的に行うには、以下3点の方法も覚えておくと良いです。
■静かな環境で淡々と注意する
人が少ない店の一角に移動して淡々と注意することで、親の言葉に集中できます。感情的になると早口になり聞き取りずらいので、冷静に伝え、たまに意味が通じているか確認しましょう。
■なるべく二人きりの環境で注意する
他の兄弟がいると、注意されている子どもの自尊心が傷ついてしまうこともあります。
■注意したことを我慢できたら、褒めたりスキンシップを取る
自分がやりたい!と思ったことを我慢するのは、子どもにとってストレスになりますよね。しかし社会性を学び、自制心を身につけるためには必要な行動です。注意したことをやめられたら褒めて成功体験を感じさせ、スキンシップを取ることでオキシトシンを分泌し、ストレスの軽減を図れます。
注意する内容の線引き方について
では実際にどこから注意するようにするか、線の引き方を紹介します。我が家では「危険かどうか」を判断基準にしています。
①物理的な危険
- 重篤な怪我の可能性:転落、刃物の使用、火事など、命に関わる危険がある場合。
- 交通安全:道路や駐車場など、車両の往来がある場所での行動。
- 遊具やスポーツ:滑り台やブランコ、スポーツ活動において、安全な使い方ができない場合。
② 健康に関する危険
- 有毒物質や薬物:家庭内の洗剤や薬、危険物を誤飲する可能性がある場合。
- 食べ物の窒息:小さな部品や硬い食べ物を誤って飲み込む危険がある場合。
- 病気や感染症:感染症のリスクが高まる状況での適切な衛生管理。
③心理的な危険
- いじめや暴力:友達や兄弟姉妹からのいじめ、身体的または精神的な虐待の兆候。
- オンラインの安全:インターネット上での不適切なコンテンツやオンライン上の危険な接触。
まとめ:子どもが探求心をもって行動するのは、正しい育児ができている証!
子どもが注意することを何度もやってしまう、先述した通り、探求心や好奇心を持って取り組めるという状態です。これは子ども本来のあるべき姿として大変理想的です。子どもは親が機嫌が悪いと常に顔色を伺って余計なことをしなくなります。つまり、探求心や好奇心は蓋(ふた)して閉じてしてしまう状態。なせ我が子は諦めずに何度も挑戦してしまうのでしょうか。
答えは「親子間でしっかり愛着形成ができているから」
これは一番重要な子育てで築きたいものであり、生物として備わるべき条件だと思います。安心地帯、つまり親が愛してくれるから自己効力感高く新しいものにチャレンジできる、失敗してもまた立ち上がれる。まさにつまり「生き抜く力」とも言えますよね。予測不可能な未来が来ると言われている世の中で生きていくには、自分で壁を乗り越える力が必要です。その礎となるのが「愛着形成」です。
親として何度も注意するのは疲れるのは間違いありませんが、まずご自身が親として、これまで存分に愛情を注いできたことを褒めてあげてください。人の顔色を伺ったりご機嫌取りをすることなく、お子さんは自分の世界を最大限に生きることができています。素晴らしいです!
ただ、当然挑戦する力だけでは生きていけません。危険回避能力も備わっているべきです。
おそらく、何度も注意してしまう親御さんにとって、そこが一番不安なのでは、と思います。
しかし実際どうでしょう。人に言われて我が身のフリに気が付くより、自分自身で身をもってマイナスな体験した方が思考は変わりますよね。なので、細かいことを注意するよりも大きなケガに繋がらない限り、見守る形でもよいかもしれませんよ。
失敗は成功のもとです。子どもたちが広い社会に飛び立つ前に、なるべく多くのことを挑戦させて沢山経験を積ませてあげてください。経験が将来子ども達にとって大きな宝となります。
汚れたら洗えばいい、壊れたら人の痛みと代償を知ればいい、どんな結果も子ども達にとっては大きな宝なので、なるべく知識欲の芽を刈り取らないであげて欲しいです。大人が見守り必要なことだけを注意することで、子ども自身が危険を理解し、自律的に判断できるようになっていきます。