4月になり、桜満開の中で入園式を迎えた皆さま、おめでとうございます。園によっては慣らし保育が始まり、毎日奮闘中のご家庭もあるかもしれません。
今回の配信では、慣らし保育における子どもの心理状態と、親としてしてあげられる3つのことについて紹介します。
この記事を読むと、
・慣らし保育で泣く子どもの姿を温かく見守られるようになる
・泣く理由が腑に落ちる
・慣らし保育期間が少し楽しみになる
効果があります。
是非最後までご覧ください。
①慣らし保育とは
慣らし保育はご存知の通り、お子様が保育施設に少しずつ慣れていく為の保育施設による取り組みです。
年齢によりますが、大体乳児の場合は2週間~1ヵ月ほどを目安に通常の保育時間より短縮してお子様を預かり、徐々に降園時間を伸ばしていきます。狙いとしては子どもの精神的負担を緩和するのはもちろん、保護者と保育士間でも連携を取り情報共有をする練習にも繋がります。
②慣らし保育中の子どもの様子
慣らし保育で行う活動は、年齢や預かる時間の幅により内容が変わります。
例えば0歳児の場合は最初は2~3時間から開始する施設が多いです。
平然としているけど状況を理解できていない子、保護者から引き離されることを察して終始泣いている子、マイペースに遊んでる子と個人差が大きく見られる為、園に慣れ始めるタイミングも人ぞれぞれです。大抵1ヵ月ほどすれば園に慣れ始めますし、保護者と離れる際に泣いても一時的なもので日中遊ぶ姿が見られたり、特定の保育士を受けれるようになります。(ただし土日を挟むと振り出しに戻ったり、GWに入ってさらに振り出しに戻ることがあります…)
とは言っても、慣れるまでの間、子どもにとっては試練でしかないので、子どもにとって最適なケアをしてあげたいですよね。まずは慣らし保育中、泣いている子どもの脳はどんなことが起きているのか、心理学と合わせてみて行きたいと思います。
③慣らし保育中の子どもが泣く4つの理由
預けられた子どもにどのような変化が起こるのか、発達心理学と脳科学の観点からみてみましょう。
泣く理由①:記憶の保持
唐突ですが、赤ちゃんの記憶力についてお話します。
生まれた直後の赤ちゃんは、胎児の頃の記憶を覚えている事が研究によってわかっていますが、記憶を保持するという面では未発達です。おおよそヒトの生後3ヶ月で1週間,4ヶ月で2週間ほど記憶が保持されていることがわかっています。1歳2ヶ月ほどにもなれば、4ヶ月後まで記憶が残っていることもあるそうです。
なので登園して泣いてしまうのは、「ここ(保育施設)にくるということは、ママやパパと離れる!」という記憶保持がしっかりできているからと言えそうですね。
そして保育施設に来る機会が増えることで、「ここ(保育施設)はどんな場所で、どんな人がいて、どんなことをするか」記憶を保持できるようになると結果「保育園生活に慣れる」ことができます。
徐々に泣かなくなる我が子の成長、脳が発達しているんだなぁ、と思うと少し感慨深くなります。
泣く理由②:保護者と明確な愛着が築かれている証拠
発達心理学によると、赤ちゃんは出生後3ヶ月から母親と他人の区別がつき始め、6ヶ月~2,3歳頃までに母親と離れるのを嫌がるようになります。これは愛着がはっきりと形成されている証拠でもあります。また6ヵ月~8ヵ月頃は人見知りもあるのでさらに過敏になるかもしれません。2,3歳以降になると親の感情や行動の目的を理解できるようになるので、離れても泣き叫んだりせず、状況を少なからず把握し、待つことができます。
結果慣らし保育では乳児の方がより泣かれる傾向にはありますが、それはあなたが毎日愛情を注いできたからしっかり愛着形成ができている、その証拠になるかもしれません。
泣く理由③:哺乳類としての本能
泣いてしまう理由の1つに「哺乳類としての本能」も挙げられます。これまでずっと安心できる家で過ごしてきたけど、ある日突然知らない場所に置いていかれた。つまり本能的に身の危険を感じて、泣くことで親に伝えようとしているのです。危険を察知する能力は生きていく中でとても大切なので、備わっていることがわかると一つ安心できますね。
泣く理由④:パニックしている脳を落ち着かせるため
子どもは感覚で生きる生き物です。特に五感からの刺激には敏感に反応する為、知らない人、知らない匂い、知らない声など知らない情報が一度に脳に流れこむと、神経組織が緊張状態になり、パニックに陥ります。そしてそのパニックを抑えるために泣いて感情を爆発させて脳を落ち着かせようとするのです。
もちろんパニックになっている子どもを保育士は放っておくわけではないので安心してください。
泣いている子どもに対して「見て見て、アンパンマンがいるよ~」「いないいないばぁ!の音楽流そうか。」などと子どもが知っていそうなものがあることを伝えます。子どもは「あ、これ知ってる。」と自分の知っているものを見つけると、意識がそこに集中して脳が落ち着き、安心して、泣きやむこともあります。
慣らし保育期間中に親がしてあげられること
園では保育士にお任せするとして、引き渡されてから親がしてあげられることはなんでしょうか。
私は是非皆さんに取り組んで欲しい3つのことがあるので紹介させていただきます。
①なるべく笑顔で関わり、安心させる
子どもは親の表情を良く見ます。
ママやパパが不安な顔をしていれば不安な気持ちになり、笑顔だと安心します。
親が笑顔で送り出してくれると「ここ(保育施設)は怖くない場所なんだな」と感覚で理解しますし、保育士とフレンドリーに会話していると、その保育士に懐きやすくなります。
ママ達も初めて保育士と話すのは緊張するかもしれませんが、コミュニケーション能力の向上にも繋がりますので是非笑顔を心掛けてみてください♬
そして園の悪い評価を子どもの前で言うと、子どもは勘づきます。(両親の喧嘩は6ヵ月未満でもわかるという研究結果も出ています。)園に対しての不満はなるべくパートナー間で留めておき、直接園に伝えましょう。
②帰宅後はゆっくり休ませる
慣らし保育中は過度のストレスがかかり、子どもの脳は疲れています。時間に余裕があるからといって出掛けるとさらに脳に負担を掛けるので、子どもが安心できる我が家でゆっくり過ごすことをおすすめします。
③積極的にスキンシップを図る
家での過ごし方としておすすめなのは、沢山スキンシップを図る事。
スキンシップをとることで幸せホルモンのオキシトシンが分泌されます。オキシトシンが分泌されると子どもは以下の効果がでます。
・記憶力の向上 ・セロトニンが生涯分泌しやすくなる(心の安定、鬱の回避)・ストレス値が下がり免疫力が上がる ・成長ホルモンが分泌する
お迎え時のハグや、帰宅後にマッサージや膝にのせて絵本を読んだり、まめにスキンシップをとると、また明日もがんばろうという活力に繋がります。
ただしスキンシップが苦手な子もいるので、求められたら120%の気持ちで応える形で良いかと思います。
まとめ
慣らし保育は子どもはもちろん親にとっても試練ですよね。
しかし、泣いてしまうのはきちんとした理由があり、成長している証拠でもあるということをお伝えさせていただきました。
慣らし保育で泣いてしまうのは①親と離れるのがわかるから、つまり②親と愛着が築けているから寂しくなります。また、③いち哺乳類としての本能的な理由でもあり、④脳のパニックを鎮静化させる為でもあります。
そして徐々に園で過ごす時間を増やすことで新たな記憶保持により保育施設がどういう場所が理解できるようになり、安心して過ごせる第2の場所となるのです。
もちろん泣かない子もいますが、決して愛着が築けていないわけではなく、それは完全に「個性(性格)」なのでご安心ください。先述した通り、兄弟児の場合は既に記憶として保育施設を薄っすら認識していますし、マイペースな子は3ヶ月頃にようやく状況を理解し始めることもあります。
慣らし保育では我が子と離れ、同年代の他児と比較したり我が子を客観的に見る事ができる良い機会です。あまりにも泣きすぎたり、慣れる様子がなければ保育士の方から話があると思いますが、それまでは本当に稀ですし、個性が理由に過ぎません。いずれ慣れます!
保護者の皆さんはお子さんに対して笑顔で送り出し、降園してから家で休ませて、沢山スキンシップを図ってみてください。そうすることでお子様も落ち着いて園と向き合えるようになります。
どうぞあまり気負わず、一生で一度しかない期間を楽しんでください。あの頃が懐かしいなと思える時期が必ずきますよ!
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