年末年始、皆さんはご予定お決まりですか?多くの方は帰省して実家に行ったり、お家でゆっくり…なんて方が多いんじゃないかと思います。
病院で働く身としてお伝えしますが、年末年始、子どもの事故は増えます。
年末年始、そんな可能性を減らしたく、本記事では0~3歳の子どもを育てる保護者や祖父母に向けて配信します。
特に多い家庭内事故を中心に事前にできる具体的な対策を解説します。
知って備えて子どもの事故を防ぎ、安心安全に家族時間を過ごしましょう!
年末年始は子どもの事故が増えるって、本当?
年末年始は、子どもの事故やケガが一年の中でも特に増えやすい時期だと知られています。
理由は、帰省や来客で環境が変わり、いつもと違う生活リズムになるためです。
大人は忙しく動き回る一方で、子どもの行動範囲は広がり、見守りが手薄になりますよね。
特に自分で動けるようになった0歳ちゃん~3歳の子どもは好奇心が強く、危険を予測できないため事故につながりやすくなります。
また、祖父母宅には子ども向けの安全対策が、基本的にはされていません。もしも事前に配慮してくれていたら、最早神だと崇めてください。
実際に年末年始は救急搬送された方は増えます。令和4年度に発表された東京消防庁のデータを見ると、1年の中でも12月が最も多く、乳幼児と高齢者に多く発生しているとのことです。

年末年始の事故は「知って備える」ことで防げるため、まず現状を知ることが大切です。
【ランキング】年末年始に多い子どもの家庭内事故トップ3
このランキングでは、救急搬送や相談が多い事故を中心に3つ紹介します。どれも多くの家庭で起こり得る内容ですので、参考になさってください。
1位:誤飲・窒息(おもちゃの部品、ボタン電池、薬、おもちなどの食べ物etc..)
クリスマス以降、誤飲事故が急増します。クリスマスにもらったオモチャの部品や、掃除中に出てきたボタン電池。餅や、豆、飴などの食品。そして祖父母宅にありがちな薬。大掃除のためにコップに漂白剤を入れていたら誤飲した、なんていうケースもあります。
子どもの手の届く所に、飲み込んではいけない物は置かない。
これは徹底して守りましょう。
500円玉サイズのものは喉を塞ぐ可能性があるので、注意してください。
特に気をつけたいのがSIDS(乳幼児突然死症候群)
12月以降、0歳児の事故死で増えるのはSIDSです。これまで元気だった赤ちゃんが、何の予兆もなく眠っている間に突然亡くなってしまう原因不明の病気です。
この原因の一つと考えられているのが、「睡眠時の窒息」。帰省先の大人用ベッドや柔らかい布団、また「寒いだろう」と良かれと思ってかけた重い掛け布団が鼻や口を塞いでしまうケースが目立ちます。2025年12月からベビーベッドの安全基準マークが順次新しくなっています。帰省先でも「硬めの敷布団」を使用し、「掛け布団を使わず、服で温度調節する」ことが最新の推奨対策です。
2位:やけど(暖房器具、加湿器、熱湯)
室内で過ごす時間が増える冬場は、電気ケトルや加湿器の蒸気、ストーブへの接触によるやけど事故が増加します。つかまり立ちを始めた赤ちゃんが、ガードのないストーブに手を触れてしまう、あるいは電気ケトルのコードを引っ張って熱湯を浴びるといった事例が、不慣れな室内レイアウトで多発します。
暖房器具を使用する際は、常に誰かが赤ちゃんを見守るか、もしくは暖房器具に触れられないようにストーブガードとなる柵を設置することをオススメします。
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3位:転落・転倒(階段、ベランダ、ソファ)
皆さんご家庭では階段から落ちないように「転落防止の柵」など設置してるかと思いますが、基本的に祖父母宅や親戚の家には設置していません。子どもは階段が大好きです。いつの間にか昇って、バランス崩して落ちてしまう…なんていうトラブルはよくあります。かくいう私も小学生低学年の時に、寝ぼけて親戚宅の階段から転落しました。住み慣れていないからこそ、感覚が鈍くなるので注意が必要です。
また、親戚同士で集まると子どもたちはテンションが上がります。ふざけてソファから飛び降りたり、テーブルや椅子の上から飛び降りたり…なんていうこともあるかもしれません。そこで転落して頭を打つ…こういうパターンも多いのでお気をつけください。
【年齢別】子どもに起こりやすい事故と注意点
子どもの事故は、年齢によって起こりやすい内容や原因が大きく異なります。
特に成長が著しい乳幼児期は、発達段階と事故リスクが密接に関係しています。
年齢ごとの特徴を理解し、見守り方や環境整備を変えることが事故予防につながります。子どもの成長に合わせた対策を知ることが、年末年始を安全に過ごす第一歩です。
0~1歳…誤飲や転落
何でも口に入れる時期のため誤飲や窒息事故が最も多く見られます。寝返りやずりばいが始まると、ソファやベッドからの転落事故も増えていきます。
1~3歳…行動範囲拡大による事故が急増しやすい
1~3歳になると歩行が安定し、行動範囲が一気に広がることで事故が急増します。引き出しを開ける、椅子によじ登るなど、大人の想定外の行動が事故につながります。
4~6歳…油断から起きる事故が目立つように
「もう大丈夫」という油断から、転倒ややけどなどの事故が目立ちます。できることが増える分、見守りの質を変えることが安全につながる時期です。
\▼お時間ある時に、参考にご覧ください!/
こども家庭庁:こどもの不慮の事故の 発生傾向と対策等https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b968efe0-f049-48d7-8a03-ccf03fd2ce09/dd7838b7/20230401_councils_child-safety-actions-review-meetings_202303_01.pdf
孫を迎える前の安全チェックリスト【祖父母宅編】
帰省先や親戚宅は、子どもにとって普段と全く違う環境のため、事故が起こりやすい場所です。
特に祖父母世代の住まいは「大人には安全でも、幼児には危険」なポイントが多くあります。お孫さんを迎え入れる前に、以下のチェックリストで事前確認を行いましょう。
孫を迎える前の安全チェックリスト【祖父母宅編】
■ 誤飲・誤食の危険
□ 薬、サプリ、湿布を子どもの手の届かない場所に移した
□ ボタン電池、硬貨、小物類が床や低い棚に置かれていない
□ 仏壇のお供え物(豆・飴・ナッツ)を管理できている
※500円玉サイズ以下のものは、子どもの手が届かない場所へ!
■ 転倒・転落の危険
□ 階段や段差に滑り止め・柵がある
□ 床にコードやカーペットのめくれがない
□ 椅子や踏み台を子どもが自由に動かせない
▢ お風呂の蓋を閉めておく
■ やけど・暖房器具の危険
□ ストーブやヒーターにガードを設置した
□ 電気ポットや炊飯器のコードが引っ張れない
■ 浴室・水回りの危険
□ 浴槽にお湯をためっぱなしにしていない
□ 洗剤や入浴剤を高い位置に保管した
■ 見守り体制の確認
□ 「誰が見ているか」を事前に決めている
□ 来客中も子どもの行動を把握できる
事前に環境を整えるだけで、多くの事故は未然に防ぐことができます。
「大丈夫だろう」ではなく、「念のため」が、安心な年末年始につながります。
事故は「不注意」ではなく「環境」で防げる
子どもの事故は、保護者の不注意や育て方の問題として語られがちです。
しかし、保育や医療の現場では「事故は一瞬の隙や環境が原因で起きるもの」と考えられています。
子どもは経験や脳が未熟なため、危険を予測できず、行動を止めること自体が難しいです。
かといえ、大人が子どもの行動を完全に予測して事故を防ぐことは不可能。
もしも起きてしまったとしても、自分を責め続けるより起きた事実から学び、環境を整える視点を持つことが大切です。事故は誰にでも起こり得るからこそ、親を責めない社会的理解が必要です。
ただ、起きてしまったことは仕方ないけど、事前に子どもが事故に遭うリスクを減らすことはできます。
それが「環境整備」と「見守り」です。
例えば、家具の配置や物の置き場所を変えるだけで、防げる事故は数多くあります。
年末年始は環境が変わりやすいからこそ、見守りはもちろん「環境調整」が最大の事故予防になります。
まとめ
年末年始は生活環境が大きく変わり、子どもの事故が起こりやすい時期です。
特に0~3歳の子どもは行動が予測しづらく、家庭内でも思わぬ事故につながります。
本記事では、事故の傾向を知り、事前に対策を取る重要性をお伝えしてきました。
事故は「不注意」ではなく、環境と状況が重なって起こるものだと理解することが大切です。
保護者だけでなく、祖父母や親戚も同じ認識を持つことで、安全性は大きく高まります。
ここで、年末年始の事故予防で特に重要なポイントを整理します。
- 年末年始は帰省や来客で見守りが分散し、事故リスクが高まる
- 家庭内事故は誤飲・窒息、転倒、やけどが特に多い
- 事故の内容は年齢によって大きく異なり、対策も変える必要がある
- 祖父母宅には子ども向けの安全対策がされていない場合が多い
- 誰が見守るかを事前に決めることで事故は防ぎやすくなる
- 家具配置や物の置き場所を変えるだけで防げる事故は多い
- 事故が起きても、親が自分を責める必要はない
年末年始の事故対策は、特別な道具や知識が必要なわけではありません。
「起こりやすい事故を知り、環境を整える」だけで防げるものがほとんどです。
事前の準備は、子どもを守るだけでなく、大人が安心して過ごすためにも重要です。
ぜひ家族や祖父母と情報を共有し、安全な年末年始を迎えてください。


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