ふとテーブルの上を見ると、口を拭いたティッシュが。
ふとリビングの床を見れば、お菓子の袋の残骸が。
またか!!!!
その瞬間、母は常習犯の名を呼ぶ。
はい、よくある日常風景ですね。
子どもが使い終わったティッシュやお菓子の袋を捨てずに放置するのは、多くの家庭で見られる悩みの一つ。
なんで何度言ってもゴミを捨てないんだろう。
どうしたら覚えてくれるんだろう。
実は脳科学の視点から見ると、仕方のない理由があるんです。
ストレスが爆発する前に、今日はそんな悩みを解決していきたいと思います!
疑問|どうして子どもはすぐゴミを捨て忘れるの?
答えはずばり、
脳の一部である前頭前野が未発達だから!!!!
【前頭前野の働き】
思考、判断、計画性、行動や感情のコントロール、コミュニケーション、記憶、集中、応用する、やる気を出す、タスクを完了させたりするための「機能実行」を担っています。
この前頭前野がどうゴミの捨て忘れに影響を及ぼすのかというと、主に4つあります!
未発達な前頭前野がもたらすゴミの捨て忘れへの4つの影響
1.目の前の「今」に集中してしまい、ゴミのことを忘れる
2.先のことを想像する力が弱く、捨てる重要性がわからない
3.衝動的な行動が優先される
4.自分の行動を振り返る力が足りず、やり忘れたことに気づけない
目の前の「今」に集中してしまい、ゴミのことを忘れる:計画して行動できない
子どもは目の前で起きていることに意識が向きます。
例えばおもちゃが目に入れば「遊びたい」
おやつの時間になったら「食べたい」
といった形で欲に駆られたら、基本一心です。
例えばおやつの時間。子どもの目の前に袋に入ったお菓子があるとします。
お菓子を食べたい(欲望)→袋を開ける(行動)→食べられた!(目的達成)▶別の行動へ移る
と言った形で、その後「ゴミを捨てる」というタスクが脳内で抜け落ち、行動が完了したと思ってしまいます。
つまり、前頭前野が未発達だから、目の前の「今」に集中してしまい、ゴミ捨てを完了するまでの計画→実行が難しいのです。
先のことを想像する力が弱く、捨てる重要性がわからない:未来を予測できない
前頭前野が未発達だと、先のことを見据えた行動をとることは難しいです。
そのため「ゴミを片付けないと部屋が汚くなる、家族に迷惑をかける」など、長期的な影響を予測できません。
衝動的な行動が優先される:感情をコントロールできない
前頭前野は感情をコントロールする力にも影響します。そのため、「目の前の楽しみ」を優先する傾向があります。このため、やりたい衝動を抑えて優先順位が低いゴミ捨てを優先できないのです。
自分の行動を振り返る力が足りず、やり忘れたことに気づけない:メタ認知が未熟
子どもは前頭前野が発達していないので、メタ認知も未熟です。
メタ認知、つまり自分を客観的に捉え、効果的な学びや行動を促す重要な認知プロセスのことですが、「ティッシュを捨てたかな?」と客観的に自分自身に確認することが困難で、そのまま放置してしまいます。
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前頭前野の発達は非常にゆっくりと進みます。
発達のピークを迎えるのは10代になってから、完全に成熟するのは25歳前後と言われています。
脳の発達は、0~4歳ごろ後頭葉から始まり、3~5歳ごろに頭頂葉、10代ごろに前頭葉へと後ろから前へと発達していくのが特徴です。なので幼児期や小学校低学年の子どもは、この部分がまだ発達していないので、長い目で見る必要があります。
解決策!子どもがゴミを捨てられるようになる方法
前頭前野が未発達な子どもがゴミを捨てられるようになるためには、その対策も単純なものでなければいけません。簡単でわかりやすい方法を取り入れることが重要です。
潜在意識に学習させて行動をルーティン化する
人は行動を習慣化すると無意識に行動できるようになります。
要は潜在意識に学習をさせるのです。
潜在意識とは、たとえば「まばたき」だとか「くしゃみの時に目を閉じる」だとか 「自覚されていない意識」のこと。潜在意識に記憶させれば、前頭前野をあまり使わなくても自然に動けるようになります。
潜在意識は変化を嫌うので、少しずつ変えて行くことが必要です。
たとえば、「今日はお菓子の袋を1回捨てられたらOK!」と考えを下げるなど、短期的な目標から始めていくと効果的です。
ゴミ捨てを視覚化する
前頭前野が未発達な子どもは、情報を目で捉えることで脳に刺激がいき、やることを思い出して行動に移せます。
how to …
・ゴミ箱の近くに「ここに捨ててね!」と書いたラベルや子どもの好きなキャラクターのイラストを貼る▶ゴミ箱に意識が向く
・子どもがティッシュを使う場所(机の横、リビングなど)の近くにゴミ箱を置く
▶他の刺激を受ける前にゴミ捨てを完了できる
親がお手本となる
子どもには口うるさく言っておいて、自分のことは棚に上げていた…なんてことありません?
あとで必ず捨てるもん!今は優先順位が違うんだもん!
と言い訳しがちですよね。
まぁ確かに捨てるんですが、「ゴミをすぐ捨てない」という意味では子どもと一緒なんですよ…(自戒)
子どもは大人の行動をよく観察して真似ます。そのため、親が模範となる行動を示すことで、自然とゴミを捨てる習慣を身に付けます。
how to …
・家族全体で実行する:家族全員が片付ける姿を見せて、「ゴミを捨てるのが当たり前」と学ばせる。
・ゴミを一緒に捨てる:親が「一緒にやろう!」と声をかけ、一緒に捨てることで、『ゴミ捨て=楽しい=しかもスッキリする!』というひとつの成功体験を記憶させます。
具体的に声掛けをする
効果的な声掛けは年齢や発達レベルにもよります。
例えば幼少期の場合は、「捨てて」よりも「ポイッして」のほうが伝わりやすいですし、
学童期といえど「捨てて」と伝えただけでは、「なにを?」「どこにあるの?」「どこへ?」と子どもの脳は混乱します。抽象的な指示は理解が難しいため、「このティッシュをゴミ箱にいれてね」と対象と行動を明確にしたり、「このティッシュを持ってゴミ箱の所へ行く」「ゴミ箱の中に入れる」というように、具体的な手順を分けて伝えるのも一手です。
自分の行動がどんな結果を引き起こすか一緒に考える
たとえば、ゴミを放置するとどんなことが起きるか一緒に考えてみるのも効果的です。
ゴミがたまると虫が住みついたり、ほこりやダニが増えて鼻水やくしゃみが止まらなくなったり…などと、マイナスな結果を画像やイラストなどで伝えるとイメージがつきやすいです。
その後に実際に部屋が汚れていることを一緒に確認し、「だから捨てるのが大事なんだね」とゴミ捨ての必要性を説きます。
それから一緒に片付けて、「ゴミを捨てたから部屋がきれいになって気持ちいいね!」と声をかけ、成功体験をさせることで、ゴミを捨てる意義をさらに感じることができます。
褒めることも忘れずに!
毎度お伝えしていますが、子どもがなにかできるようになったら、どんな小さいことでも褒めてあげましょう。
「捨てるの忘れなかったね、ありがとう!」「えらいね、自分で気が付けたね!」とすぐに声をかけてあげましょう。すると子どもの脳内で「ドーパミン」が分泌され、「また次もがんばろう」という意力が高まります。
また、「ゴミを捨てると部屋がきれいになって気持ちいいね」と、言葉にして伝えると、自分の行いによってどんな結果が得られるか理解できるようになります。
\ 一口メモ! / ゴミを捨てないパートナーの場合は?
「うちの旦那(妻)もすぐゴミを捨てないんだが?」
「飲んだペットボトルや空き缶もテーブルの上にあるんだが?」
よく聞く愚痴ですね。
夫が「ゴミを片付けるのは妻の役割」と感じているなんていう昭和ハラスメントはないと信じて、脳科学、心理学的な視点から調べてみました。
【脳科学的原因】
・疲労やストレスがたまると前頭前野の働きが低下し、「片付けよりも休息や他の優先事項を選ぶように働く」ので行動を先延ばししやすくなる。
・人間の脳には「順応」という特性があります。 同じ刺激に何度もさらされると、それを無意識に無視するようになるというもの。空き缶やペットボトルが放置されている状態に慣れてしまうと、脳が「これは片付けるべきもの」という判断を鈍らせます。
【心理的要因】
・「ペットボトルを捨てるぐらい、すぐできる」と感じるため、緊急性が低いタスクとして後回しになります。それで忘れて怒られちゃうんですよね。
空き缶やペットボトルを置く行動には、脳の仕組みや心理的な背景が関係しています。
この行動を改善するためには、具体的なルールを作ったり、疲労やストレスに配慮したり、夫婦間でのコミュニケーションを大切にすることがポイントです。
個々の状況に合わせて柔軟に対応することで、徐々に改善していくでしょう。
まぁ、ただ良識ある大人であることは事実。
『旦那のカバンや車に、ゴミを詰め込んだ』『脱ぎっぱなしの靴下をゴミ箱に入れた』などという視覚的な伝え方をしている方が一定数いるので、
みなさん、席を立つ前にもう一度テーブルの上に目を向けましょう。
まとめ
前頭前野が未発達な子どもにとって「なんでできないの!?」なんて酷な話。
お腹いっぱいになった!(成功体験)
お皿洗い場に持っていけた!(成功体験)
達成感に満ちた状態で次はなにをしよう。といった時に、
いつもの一喝。
凹みますよね。
子ども達には決して悪気はないんです、前頭前野が未熟だから記憶が残らないだけなんです。
ですが、そんな子ども相手でも、視覚的な工夫やポジティブな声掛けなどでゴミを捨てる行動を徐々に習慣化できます。親が模範となり、子どものペースに合わせて焦らず根気強く対応することで、自発ゴミ的に捨てられるようになる可能性があります。
え?ゴミを捨てない配偶者に対して?
それはもう、配偶者の椅子の上に捨てるべき物をまとめてあげたらよいのではないでしょうか。
責任は取りません。
ただ、あまりにも疲れていたら、
労いの一言+軽いボディータッチ▶︎オキシトシン分泌からのストレス軽減!
という作戦をオススメします。
参考文献:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbpjjpp/23/1/23_41/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpa/23/4/23_185/_pdf/-char/ja
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